vol.005
ココロMental
寒さも本格的になり、温かい食事が恋しい季節になってきました。
コロナ禍で外食することが難しい今だからこそ、自宅で温かい土鍋を囲んで食事を楽しみたいですよね。
ところで、お鍋やご飯を炊くこと以外で土鍋を使うことはありますか?実は土鍋はとても優れた調理器具なのです。
そこで、今回は土鍋のすごい力をご紹介!さらに冬の食卓を彩る簡単でとっておきの土鍋メニューをご紹介します。
一般的なゆきひら鍋と土鍋の保温力を調べるため、2Lの水を入れ、沸とうしたら火を消し、水温が70℃に下がるまでの温度と時間をはかってみました(図1)。
写真1 左:ゆきひら鍋(アルミ製・径24cm)、
右:土鍋(白刷毛目深鍋8号)
図1 各鍋における沸とう消火後の水温変化と時間
ゆきひら鍋よりも土鍋の方が、火を消した後の温度低下にかかる時間が長く、70℃以上を保っている時間は、ゆきひら鍋よりも約17分も長くなりました。土鍋の方が保温性が高いことが分かります。
そこで、この土鍋の保温力を調理に活用するポイントを2つご紹介します。
土鍋の高い保温性を活用し、余熱だけでダイコンがどのくらい軟らかくなるのか、実験で確かめてみました。
写真2のようにゆきひら鍋と土鍋それぞれに、2Lの水とダイコン(厚さ3㎝×径6㎝の輪切り6切れ)を入れ、ふたをしてガスコンロで加熱しました。沸とうしたら火を消し、水温が70℃になるまで放置した後でダイコンを取り出し、硬さを比較しました。
写真2 ダイコンを加熱する様子
(左:ゆきひら鍋、右:土鍋)
図2 加熱したダイコンの硬さ
ダイコンなどの根菜を加熱して軟らかくなる温度は80℃以上とされています。火を消した後のダイコンの中心温度を調べてみると、80℃以上を保っている時間は、ゆきひら鍋では約14分、土鍋では約34分と、土鍋はゆきひら鍋より約20分も長くなりました。
そこで、ダイコンの硬さを比較したところ、土鍋の方がゆきひら鍋で加熱したものよりも軟らかいという結果になりました(図2)。実際に食べてみても、土鍋のダイコンはしっかり加熱されて軟らかいですが、ゆきひら鍋のダイコンは硬く、煮物として食べられる硬さではありませんでした。
つまり、土鍋は消火後に、80℃以上を保持する時間が長く、余熱だけで根菜を軟らかくすることができるのです。
次に、土鍋の余熱調理をうまく利用して、煮くずれせず上手に根菜を調理できることをご紹介します。
土鍋とゆきひら鍋それぞれに、2Lの水と4等分したジャガイモ20個を入れ、ふたをしてガスコンロで加熱しました。土鍋は沸とう後に火を消し20分間放置して火を通しました。一方、ゆきひら鍋は余熱だけでは火が通らなかったため、沸とう後20分間加熱継続して火を通してからジャガイモを取り出しました。
加熱後のジャガイモの様子(写真
3)を見てみると、ゆきひら鍋で調理したジャガイモは、エッジや表面に「くずれ」が見られますが、土鍋ではほとんど見られませんでした。
さらに、調理前後を比べると、ゆきひら鍋で調理したジャガイモの方が土鍋より重量が少なくなりました(図3)。土鍋では余熱調理によって水の対流が起こらないことで、ジャガイモ同士の接触が少なく、煮くずれを抑えられたと考えられます。
土鍋の余熱を利用すると、煮くずれしにくく、きれいな形を保つことができるのです。
ゆきひら鍋 | 土鍋 |
---|---|
エッジ、表面にくずれがみられる |
エッジ、表面ともにほぼくずれなし |
写真3 ジャガイモの煮くずれの例
図3 調理によるジャガイモの重量変化
土鍋の保温力って、すごいですね。鍋料理以外にも活用の幅が広がりそうです。
みなさんもご自宅の土鍋を使って、お手軽なのにプロ並みに見える料理を作ってみませんか?
これまでご紹介した土鍋の余熱の特徴を使ったレシピを2種類ご紹介します。
とても簡単ですので、ぜひチャレンジしてみてください。
<作り方>
<準備>
絹サヤは筋を取り、サッと茹でて水にとります。
<作り方>
<アドバイス>
執筆者:東京ガス都市生活研究所 統括研究員 松葉佐 智子
レシピ監修:東京ガス食情報センター 茂木 一江
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東京ガス都市生活研究所は、1986年7月に設立されました。社会の変化や都市に暮らす生活者についての多面的な調査・分析をもとに、将来のライフスタイルやニーズを予測し、生活者が豊かな暮らしを創造するための情報を提供すると共に様々な提言を行っています。