vol.004

カラダPhysical

いよいよ受験シーズン到来、
自宅で学習効率をアップさせる
3つの方法!

12月になり、いよいよ受験シーズンです。今年はコロナ禍で緊急事態宣言による外出自粛や一斉休校など、特に受験生や受験生を持つ親御さんは、例年と異なる状況に胸を絞めつけられることも多かったのではないでしょうか。依然として、不安な状況は続きますが、受験生への応援の思いを込めて、学習効率アップのための環境作りのコツと自宅だからこそ出来るリフレッシュ方法をご紹介します。

コロナ禍で「自習室やカフェを使うのは心配」などの声も

試験当日まで体調を崩すことなく、集中して勉強したいと願う人は多いと思います。これから試験を控えている人やそのご家族を対象に、現在の自習場所についてアンケート調査を行ったところ、自宅が85%で最も多く、塾や学校が10%前後、図書館、ファミレスやカフェといったスペースは5%以下となりました。
自宅を選んだ人の中には、「今までも勉強は自宅で行っていた」という人がいる一方、「コロナの感染が心配なので、極力自宅で勉強するようになった」という人も多いようです。今までは、「家だと誘惑が多いため、カフェや図書館に籠っていた」という人も、「図書館は1回1時間までの利用制限があるため使いづらい」、「人との接触を出来るだけ減らすためにやむを得ない」という理由で自宅を選んでいるようです。
改めて、『自宅』が安心な環境として選ばれているようです。

自習を行っている場所は
自習を行っている場所は

「東京ガス調べ(2020年10月)」

自宅で勉強する際に気を付けていること・工夫していることとしては

  • ・帰宅時の手洗い・うがいの徹底
  • ・家族と離れて過ごせる空間の確保
  • ・オンライン授業への対応のためWi-Fi環境の増強
  • ・誘惑になるPC・ゲームやスマホを部屋からなくす
  • ・気分転換のためのお茶、おやつタイムを設ける

などがあるようです。

そこで今回は、本当は塾、図書館、カフェで集中して勉強したいけれど、やむを得ず自宅で勉強している方にも、自宅だからこそできる環境作りのコツやメリットを3つ紹介していきます。

自宅なら部屋の換気が自由に出来て、勉強がはかどる!

人が多く、換気の少ない環境で勉強していて、頭がぼーっとしたことはありませんか。学習塾などの人が多い環境で行われた実験では、換気量を増やすことでテストの得点が上がったという結果が出ており、換気量が学習効率に影響することが分かっています(参考文献1)。別のデータでは、室温が高くなり過ぎると、脳内酸素消費量が増えてしまい疲労度が高まることが分かっています(参考文献2)。自宅であれば、そもそも人数が少ないため、空気がこもってしまう事による影響を受けにくい状況でありますし、温度調節や換気を自由に行う事が出来るため、自習するのに向いている環境と言えます。

学習効率の調査結果
学習効率の調査結果

出典:村上周三ら「教室の環境と学習効率」
建築資料研究社(2007年)より作成

学習効率アップには、頭寒足熱がおすすめ!

一方で、換気をすることで、冬は室温が下がってしまう心配もあります。学習効率を上げるためには、暑すぎても、寒すぎても良くありません。エアコンであれば、25℃前後が良いというデータもあります(参考文献1)
さらに、頭をぼーっとさせないという意味では、昔から言われていることではありますが、頭寒足熱が有効です。足元を暖めることが出来る暖房があるのであれば、それらを使うことで、勉強のはかどる環境を作ることが出来ます。短期記憶力を測る実験によると、床暖房のような頭寒足熱型の環境下の方が、頭熱足寒型の環境下よりもテストの平均得点が高かったという結果も出ています(参考文献3)。最近では、足下に気流を送る機能や、顔への気流の直撃を避ける高性能エアコンも出ているので、取り入れるのも良いかもしれません。床暖房の場合には、エアコンと比べ、室温が約4℃程度低くても、快適な温熱環境を作り出すことが出来るため、20℃程度の室温になるように設定すると良いでしょう(参考文献4)

短期記憶力の再生作業
短期記憶力の再生作業

出典:1995年多胡輝研究所/東京ガス調べ
条件:頭寒足熱型(設定温度床面30℃、床上115cm付近20℃)
   頭熱足寒型(設定温度床面15℃、床上115cm付近22℃)

N=中学生108名(男性54、女性54)を2群にわけて計測(頭寒足熱群、頭熱足寒群)

自宅学習だからこそ、気分転換のシャワーをいつでもできる!

集中力を上げるために、ついついカフェインを取り過ぎてしまうことが問題になっています。そこで、自宅で出来る、簡単に頭をスッキリさせる方法として、42℃の熱めのシャワーを浴びるという方法があります(参考文献5)

目覚め効果 リラックス効果

[熱め]42℃以上

交感神経が優位になり、体が活性化。

[ぬるめ]38~40℃程度

副交感神経が優位になり、筋肉が弛緩。心身ともにリラックス。

おわりに

今回は、受験生に向けて、自宅で学習効率をアップさせる3つのポイントをご紹介しました。

ポイント1:自宅なら部屋の換気が自由に出来て、勉強がはかどる!

ポイント2:学習効率アップには頭寒足熱がやっぱりおすすめ!

ポイント3:自宅学習だからこそ、気分転換のシャワーをいつでもできる!


試験まで、もうひと踏ん張り。最後まで、体調を整え、頑張って下さい!

参考文献:
1. 村上周三ら:「教室の環境と学習効率」、建築資料研究社、p.60、2007.10
2. 田辺新一ら:「快適な温熱環境のしくみと実践」、空気調和衛生工学会、p.170、2019.3
3. 西川向一ら:床暖房が学習能率に与える影響に関する研究、人間工学vol.35,No.3、p.177-184、1999
4. 田辺新一ら:サーマルマネキンの等価温度を用いた暖房の快適性評価と室内投入熱量、日本建築学会環境系論文集vol.79,No.706、p.1029-1035、2014
5. 植田理彦:入浴の科学-健康への効果、フレグランス ジャーナルno.69、p.6-10、1984

執筆者:東京ガス都市生活研究所 研究員/睡眠改善インストラクター・温泉入浴指導員 藤村 寛子

※この記事に含まれる情報の利用は、お客さまの責任において行ってください。
本記事の情報は記事公開時のものであり、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。
詳しくは、「サイトのご利用について」をご覧ください。

※この記事に含まれる情報の利用は、お客さまの責任において行ってください。
本記事の情報は記事公開時のものであり、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。
詳しくは、「サイトのご利用について」をご覧ください。

東京ガス都市生活研究所は、1986年7月に設立されました。社会の変化や都市に暮らす生活者についての多面的な調査・分析をもとに、将来のライフスタイルやニーズを予測し、生活者が豊かな暮らしを創造するための情報を提供すると共に様々な提言を行っています。