vol.011

カラダPhysical

夏シーズンを迎える前に
寝具のダニ対策を!

ダニは、高温多湿の梅雨から夏場が繁殖のピークと言われています。直に肌に触れる寝具は、ダニからどう守れば良いのでしょうか? 東京ガス都市生活研究所では、寝具のダニ対策の方法について調査しました。

ダニの被害は梅雨~夏に多発

東京ガス都市生活研究所が男女309人に「ダニに悩んだことがある時期」について聞いたところ、6月~9月の暖かい季節を中心に悩む人が多いことが分かりました。
ダニが増えるのは、気温20~30℃かつ湿度65~85%の環境。こうした温湿度環境は日本の大部分の地域で6月~9月に相当するため、梅雨の頃から夏にかけてはダニが急激に繁殖する時期であり、被害も多くなると考えられます※1。寝具は特に、体温や汗によって高温多湿になりやすく、アカやフケなどのダニの栄養素もあるためダニの温床となりやすい条件がそろっているといえます。

ダニに悩んだことがある時期(月) *複数回答
 ダニに悩んだことがある時期(月) *複数回答

東京ガス都市生活研究所「ダニに関するWEB掲示板調査」(2020年7月)

ダニ悩まされた時期と具体的な症状※2
  • 40代女性

    40代女性

    梅雨の時期、布団が干せないとき身体がかゆくなる。

  • 20代男性

    20代男性

    梅雨の時期、赤いぽつぽつができてかゆい。

  • 60代女性

    60代女性

    梅雨から夏、猛烈なかゆみが何日かくり返してある。

  • 40代男性

    40代男性

    夏、体に刺されたような痕と、激しいかゆみがある。

東京ガス都市生活研究所「ダニに関するWEB掲示板調査」(2020年7月)

みんながしている天日干し、実は効果はあまりない

東京ガス都市生活研究所が男女254 人に普段、行っている寝具のダニ対策を聞いたところ、「天日干し」が最も多く、次いで洗濯という結果になりました。
しかし、天日干しや洗濯だけでは寝具のダニ対策は万全ではないのです。ダニ対策の専門機関が、生きたダニを入れた布団を天日干しするという実験を行ったところ、冬と夏ともに「天日干し」後のダニの生存率は高く、ダニ退治に効果はみられませんでした※3

あなたが日頃行っている寝具のダニ対策(複数回答)
あなたが日頃行っている寝具のダニ対策(複数回答)

東京ガス都市生活研究所「ダニに関するWEB掲示板調査」(2020年7月)

「洗濯+自然乾燥」では、ダニは半数以上が生きている
~「洗濯+ガス衣類乾燥機」でダニ死滅率99.9%以上!~

では、天日干し以外の方法ではどうでしょうか。実際に新品の毛布に生きているダニをつけ、洗濯後、自然乾燥またはガス衣類乾燥機で乾燥した後の、ダニ死滅率を比較してみました。

実験風景
実験風景

「洗濯前」の毛布のダニ生存数と、「洗濯後」「洗濯して自然乾燥」「洗濯してガス衣類乾燥機で乾燥」させた毛布のダニ生存数を数えて、それぞれの死滅率を算出しました。
その結果、「洗濯+自然乾燥」では生きているダニが過半数でしたが、「洗濯+ガス衣類乾燥機」では生きているダニは0であり、死滅率は99.9%以上でした。

ダニ死滅率
ダニ死滅率

実験条件(n=4)
・使用衣類:毛布(ポリエステル製、シングルサイズ)
・洗濯:東芝AW-E80HVP毛布コース
・自然乾燥:人工気候室内(室温18.4℃・湿度35%)でサーキュレーターの風をあて3時間乾燥
・ガス衣類乾燥機:リンナイRDT-52S、シーツ・毛布コース

東京ガス都市生活研究所「乾燥方法の違いによるダニ死滅効果測定試験」(2020年7月)

ガス衣類乾燥機は高温で乾燥するからダニ退治に有効

ここまで、ガス衣類乾燥機のダニ死滅効果をご説明しましたが、その秘密をご紹介します。
下のグラフは、ガス衣類乾燥機と一般的な全自動洗濯乾燥機で衣類を乾燥させたときの衣類温度を測定した結果です。ガス衣類乾燥機はガスのパワフルな温風で最高70℃以上の高温になります。天日干しや一般的な全自動洗濯乾燥機ではここまでの高温にはなりません。
ダニは温度が50℃以上で卵から虫体まで死滅すると言われており※1ガスの温風によりダニが死んだと考えられます。

乾燥中の衣類温度
乾燥中の衣類温度

実験条件(n=3)
・実用衣類4.2kgの洗濯物を乾燥させた際に、温度ロガーが記録した各時点における温度の平均を算出
・ガス式:リンナイRDT-52S  電気式:東芝TW-117X5L(T)

東京ガス都市生活研究所「ガス衣類乾燥機の庫内衣類温度測定試験」
(2018年1月)
*ダニ対策コースなど、高温になるモードを備えた
全自動洗濯乾燥機もあります。

コインランドリーの活用も有効!

ガス衣類乾燥機をお持ちでない方はコインランドリーの乾燥機を使うことも有効です。大きめの布団などは自宅では洗って乾かすことが難しいですが、コインランドリーの乾燥機はガス式のものが主流で大型かつパワフルなので、家庭用のガス衣類乾燥機をお持ちでない方や大きめの布団をクリーニングしたい方は、コインランドリーを活用するといいでしょう。

※衣類乾燥機は毛布などの寝具に対応していないものもあり、ウール、シルク、合成繊維であるポリエステルなど乾燥機に掛けられない素材もあるので注意が必要です。衣類乾燥機にかけられるものかどうか品質表示のタグを必ず確認するようにしましょう。

まとめ

今回は、高温多湿の梅雨から夏が繁殖のピークと言われている寝具のダニ対策についてご紹介しました。今回の調査から、洗濯とガス衣類乾燥機での乾燥を定期的に繰り返すことで、生きているダニを死滅させることができることが分かりました。特別な薬剤の必要もなく安心で、普段のお洗濯のサイクルに取り入れれば面倒感もありませんのでぜひ暮らしに取り入れてみてください。

執筆者:東京ガス都市生活研究所 主任研究員/家庭の省エネエキスパート【診断・指導級】・温泉入浴指導員 津田圭子

※1 【参考】 井上書院 ダニ・カビ完全対策 小峯裕己

※2 個人の体験談であって、ダニとの因果関係を裏付けるものはありません。

※3 【参考】 日革研究所HP 布団のダニ退治「天日干し」の効果を検証

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東京ガス都市生活研究所は、1986年7月に設立されました。社会の変化や都市に暮らす生活者についての多面的な調査・分析をもとに、将来のライフスタイルやニーズを予測し、生活者が豊かな暮らしを創造するための情報を提供すると共に様々な提言を行っています。