皆さんはどんなお正月を過ごされましたか?
私は何本かの映画を観て過ごしました。その中に『50回目のファーストキス』という作品がありました。
これは2004年のピーター・シーガル監督によるハワイを舞台としたラブストーリーで、ここ数年ブームとなった『CODE46』『いま、会いにゆきます』『エターナル・サンシャイン』『きみに読む物語』『ロング・エンゲージメント』といった作品群と同じように"記憶"と"純愛"をミックスさせた映画です。
ドリュー・バリモア演じるルーシー・ホイットモアは、交通事故に遭って以来、前日のことをすべて忘れてしまうという短期記憶喪失障害になってしまいます。そんな彼女にアダム・サンドラー演じるヘンリー・ロスは一目ぼれし、毎日 "初対面"の者として愛を告白し続けます。
美しい海などの大自然の中、解放的で過ごしやすいハワイを舞台とすることにより、ともすると暗くなってしまうストーリーを明るくコミカルなタッチに仕上げています。
こうした一見報われない献身的な愛を傾けることにより、ルーシーは、頭のどこかにヘンリーという存在を植えつけていきます。彼にあった次の日は、いつも思い出の曲、The Beach Boysの『Wouldn't It Be Nice♪』※を歌ってしまうのです。
「♪素敵じゃないか。 目を覚ましたら朝になっていて、二人の新しい一日が始まる。二人一緒に僕らしあわせな時を過ごす。 ひとつひとつのキスが永遠に続くんだ。 ♪素敵じゃないか。 二人で一生懸命になって考えたり、お願いしたり、望みを託したり、お祈りしたりすれば、 実現するかもしれないよ。 そうすれば二人にできないことは何ひとつとしてないんだ・・・」と。
私がこの映画を観るのは今回が2度目で、初めて観たのはアメリカから日本に帰る飛行機の中でした。ストーリーの良さに感動するとともに、長時間、機内の空気環境の悪い中におかれていたせいもあり、映画の中に出てくるハワイの解放的な心地よさに惹かれたものです。
飛行機に長時間乗られた経験のある方はご存知かと思いますが、機内は大変乾燥しています。その湿度は20%以下(5%~15%)といいますから、湿度の点からみれば砂漠と大差ありません。これは地上10km付近の湿度0%に近い乾燥した薄い空気を圧縮して機内に取り込んでいることに起因します。
これに対して、ハワイは大変快適な環境にあります。
これはハワイの環境が、気温が高いにもかかわらず、湿度が50%前後(雨の日でも75%程度)と低い値で安定しており、人が快適だと感じると言われている湿度範囲(40~60%)におかれていることによります。
このように、温度による違いだけでなく、湿度の違いによっても私たちの感じ方は大きく異なってきます。つまり、心地よい環境を得るには温度だけでなく湿度がかなり大きな要因となっているのです。さらに言えば、気流や空気質の違いと言った私たちの周りを取り巻く環境の様々な要素が複雑に絡み合って、私たちの感じる"心地よさ"は創られているということに注目していく必要があるでしょう。
そうしたことを考えながら、ヘンリーやルーシーのように毎日新鮮な気持ちで新しい朝を迎え、少しでも快適な明日を過ごせたらよいものだと思います。
『50回目のファーストキス』を観ながら
2007年1月
※The Beach Boysの往年の名曲で、『50回目のファーストキス』のテーマソングとして使用された。