超高齢社会を迎えるといわれて久しい。しかし、今後の高齢社会の主役となるだろう団塊世代たちは、現時点では自分自身のこととして、高齢期を考えていない。例えば、団塊世代たちは、定年を迎える時期に住まいの見直しを行なう場合が多い。いわば、終の棲家づくりを行なうのだが、彼らが望むのは、将来ではなく、現在を楽しむことである。
では、高齢者配慮は行われないのか。そんなことはない。彼らの多くは、自分のためではなく、親のために行なう。現在、介護の主役ともいえる団塊世代たちは、その悩みを解決する手段として高齢者配慮を取り入れるのだ。ここでもまた「現在」の改善に熱心であることがわかる。非婚化が進んでいる状況では、夫婦2人だけでなく、成人と子どもとの同居も多いことも、自分が高齢期に向かっていることを自覚しにくい一因になっているとも考えられる。
団塊世代たちが、自分たちを高齢者と思いはじめるのは、いつなのだろうか。その年齢を探ってみよう。団塊世代が高齢期とイメージするのは70代以上である。
60代のうちは、できるだけ仕事を続けたいと思う傾向がある団塊男性は、60代はまだ現役という意識が強いのではないだろうか。また、夫が定年すると家にいる時間が増えるという悩みはあるものの、旅行などを楽しもうと思う女性にとっても、60代はまだまだアクティブな時期といえる。
いまの団塊世代に、高齢者対応をいっても共感は得にくい。あと10年は団塊世代を高齢者と扱うような提案には配慮が必要である。
70歳からを高齢者と認識
中塚 千恵