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節約+αのキーワードでニーズを創造

 100年に一度の不景気と呼ばれるなか、安さが売りのひとつであるH&M、FOREVER21、ユニクロなどでの買い物が増えている。そのため、「割高」「高額」という印象が強く売り上げを減らした百貨店も、来店頻度を増やすために年2回(夏・冬)のバーゲンセールを増やしたり、下取りセールを積極的に実施している。
 いま使えるお金のなかで、無駄なく消費ができるのならば、生活者は消費を我慢することはない。何でも買い控えるという状況ではないのだ。不況だから売れないとは限らない。高額な商品やサービスであっても、コストパフォーマンスが何かを考えることは重要である。無駄がないと思った消費であっても、複数購買すれば結果としては節約にならないことも当然あるが、生活者はその矛盾をあまり気にしないことも実状である。
 不況が続く中、今後、消費を促す新たなキーワードは何か。そのひとつが「倫理=よいこと」である。たとえば、内食の増加やお弁当づくりブームも、このキーワードを反映したものといえよう。お弁当箱に入れるだけでよい冷凍食品がヒットするなど、毎日のお弁当作りは、多くの主婦にとって省力化を願うものであった。現在、お弁当づくりが、多くの人の関心を集めていることには、この「倫理観」が関係している。お弁当づくりには、節約だけではない「よいこと」の実践があるからこそ、行動として拡大しているのではないか。お弁当グッズや水筒やマイカップも、「よいこと」をしたい意識がうみだす新たな消費といえよう。
 ご存知のように、無駄を省くことや節約は新しいニーズとはいえず、それだけを訴求するだけでは、生活者は物足りない。生活者の新たなニーズを創造するためには、節約プラスアルファのニーズは何かを創造していくことが必要である。生活者の環境貢献が必要とされる状況を踏まえても、「倫理」はニーズ創造のために一役買うキーワードになるのではないか。

社会との理想的なつながり方(上位15)
図 社会との理想的なつながり方(上位15)


中塚千恵

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