日々の生活の中で、あなたは家族との時間を重視していますか、ひとりの時間を重視していますか。
都市生活研究所が既婚者を対象に調査した結果によると、家族の時間を重視する割合が86%にのぼるものの、約半数がひとりの時間を重視すると回答している(回答割合は、それぞれ「家族とひとりの時間のどちらも重視する」を含む)。年代が若いほど、家族の時間のみを重視する傾向にあるが、生活の中でひとりの時間を持つことも必要と感じているようである。
今回、世帯形成期をむかえた、家族重視といわれる団塊ジュニア(30代)に注目し、ひとりの時間や空間についてみてみたい。
30代既婚者に「家の中でひとりでリラックスできる場所」を聞いたところ、リビング、お風呂、寝室といった回答が得られた。
さらに、未就学児の末子をもつ女性へのインタビューでは、リラックスできる場所の2位に挙げられたお風呂について、「お風呂は空間として1人なれるのが目的」「ゆっくりと入浴できる時間がほしい。本が読みたい。」「リビングでは雑誌を読んでいるとテレビをつけたり、お茶をいれたり落ち着かないけれど、お風呂場は行き場がないので集中して読むことができる。」といった意見が聞かれた。
リビングや寝室もひとりでリラックスできる場所ではあるが、一人きりでゆっくりできることがお風呂のメリットといえるだろう。
しかし、実際は30代既婚女性の約7割が時間をかけてお風呂に入りたいができていない。また、子どもの有無で違いがみられ、子どもがいる人ほど時間をかけてお風呂に入ることができていない。子どもが小さいときは一緒にお風呂に入らざるを得なく、子どもと一緒に入ると身体を洗うだけで精一杯で落ち着いてお風呂に入っていられないのが現状のようである。
ひとりでお風呂に入ることが難しい中、お風呂でひとりの時間を過ごしている人に聞いてみると、家族が起きる前や子どもを保育園に預けた後の時間を活用して入浴をしており、体を洗うための入浴とは別に、雑誌などを持ち込んでゆっくりとした時間を過ごすために入浴をしている人が多くみられた。
忙しい毎日の中で、ひとりの時間を過ごすことが難しいのは、30代女性の限ったことではないだろう。朝や休日の昼の時間等にお風呂空間を活用して、ひとり時間を過ごしてみるのもよいかもしれない。
荻原 美由紀