「ニワトリが先か、卵が先か」。お互いの意見がかみ合わず、勝敗がつかず繰り返される論争の例え話です。ニワトリが卵を産むからニワトリが先、あるいは、卵からニワトリが生まれるのだから卵が先と、どちらも言い分があり決着しないのです。進化論によれば、突然変異により、ニワトリ以外のものが卵を産んだと考えられ、また、米国の数学者の調査でも卵が先と結論づけていました。ところが、近年、英国の科学者チームが卵の殻のたんぱく質に関する解析結果を発表し、ニワトリが卵よりも先であると報じられたことがありました。実際のところは、現在も結論は出ていないそうです。
ここで、子どもと地域コミュニティの関係について考えてみたいと思います。子どもがいるからコミュニティは活性化するのか、あるいは、コミュニティが活性化しているから子どもがいるのでしょうか。今夏、集合住宅のコミュニティに関する調査を行いました。詳しい結果については別途紹介しますが、この中で、「立ち話や世間話ができる程度の近所づきあいをしている人数」(対象:20代~40代の集合住宅居住者)についてきいてみました。
男性と女性を比べると、子どもがいるといないに関わらず、女性のほうが近所づきあいをしている人数は多くなる傾向です。子どもがいない場合、男性、女性とも6割以上が立ち話や世間話ができる程度の近所づきあいはありません。子どもがいるといないでは、近所づきあいが大きく変わってくることがわかります。
次に、子どもがいる世帯で、「立ち話や世間話ができる程度の近所づきあいのきっかけ」(対象:20代~40代の子どもがいる&近所づきあいのある集合住宅居住者)について見てみます。近所づきあいのきっかけとなった最も多い理由は「ご近所で顔を合わせて(51.2%)」ですが、トップ10の理由のうち、子どもに関連した項目が5個と半分あります。子どもがいることできっかけが生まれやすく、立ち話や世間話ができる程度の近所づきあいのできる人数が増えると考えられないでしょうか。子どもは、コミュニティを活性化する重要な要因であると言っていいかもしれませんね。
「ニワトリが先か、卵が先か」のような類の問題は、見極めが大切です。ある2つの出来事が原因と結果という関係性があるのか、あるいはないのか。話がかみ合わない場合や、考えて迷うことがあったら、原因と結果に立ち戻って判断したい、そう思うのです。