子供たちが火に触れ合う機会は減ってきています。外で焚き火をする場所は限られ、家の中の暖房器具はファンヒーターのように炎が見えない構造に変わっています。このような現代生活の中で、最も身近な炎は何といってもガスコンロの炎でしょう。子供たちはガスコンロの炎をどのように感じているのでしょうか?
今年の夏のある土曜日、がすてなーに ガスの科学館において、「炎で体験調理 マシュマロサンドを作ってみよう!」と題したワークショップに、親子連れや友達同士のグループが続々と集まりました。真っ黒に日焼けした子供たちに、実際にコンロを扱ってもらいました。
まず始めにガスコンロを使うときの注意や火のつけ方をプロジェクターの画像で学習しました。コンロで料理したことのある子も初めての子も、顔付きは真剣そのもの。教えている側にも、子供たちの知ろうとする意欲が伝わってきます。
そして、いよいよ実習です。はやる気持ちを抑えながらも、子供たちは丁寧に手を洗っていました。次に先生のお手本通りに、自分でガスコンロを点火。
「炎の色は何色?」
「青!」
しっかり炎を見て確認し、さあいよいよ串に刺したマシュマロが手渡され、子供たちの緊張はクライマックスです。
「1、2、3、4、5!」
皆が数える間、表と裏と炎で炙られるマシュマロを本人だけでなくグループの皆が見つめます。時にはマシュマロに火がつきますが、そこはあわてず先生の言う通り「ふ~っ」と息で吹き消すのです。これが子供たちの楽しみの一つになっていました。下の写真はその吹き消している場面です。子供たちのキラキラした真剣な眼差しが本当に印象的なひとときでした。
炙ったマシュマロをビスケットに挟み、マシュマロサンドが完成! マシュマロサンドを手にした時、そしてほおばった時の子供たちの表情は、どの子も満足げで、少しほっとしたなんとも言えないうれしそうな笑顔でした。お子様がいらっしゃるご家庭では、是非、実際にマシュマロを炙り、お子様の表情を確認してみてください。
終了後のアンケートでは、またやりたい、楽しかったが8割以上でした。焦げていても苦くなく、こうばしい風味を感じ取ってくれた意見もありました。半分だけ食べて「お父さんにあげるためにもって帰る」という子も。そしてワークショップが終わってみて気づいたことは、一日で約160人もの子供が体験したワークショップで、ふざけて走ったり串を振り回したりする子は一人もいなかったということです。
便利でいろんな料理が作り出されるコンロへの興味を膨らませ、使い方によっては危険だという正しい情報を提供し、自分で火を吹き消して危険を回避できたという体験から小さな自信をつけてあげること。これらは大人が子供へ伝えなければいけない大切なことだと思います。簡単な体験の提供でしたが、子供たちの反応から、私達の思いは十分伝わったのではないかと感じました。炎から子供を遠ざけず、身近なものにしてあげてください。子供たちは自分で危険なことと大事なことを判断する力を持っていると思います。