夫婦の2007年問題
今年から団塊の世代の定年退職が始まった。企業の2007年問題だけでなく、夫婦の2007年問題、つまり夫の定年退職をきっかけとした熟年離婚の増加への危惧も高まっている。
都市生活研究所の調査によると、夫が定年を迎えた妻の4人に1人は、夫が家にいることを「うっとうしい」と感じていることがわかった。その主な理由は、「家事の負担が増える」「家の中で気ままに振舞えなくなる」「夫に気兼ねし外出しづらくなる」など。夫との時間の増加を喜ぶ妻は29%しかいない。一方、夫側は、「定年後は妻と一緒の時間を増やしたい」と考えている人が7割以上。定年後は夫から妻への片思い傾向が強くなるようである。
夫のテーブルセッティングは円満の秘訣
定年後の夫が、妻から「うっとうしい」などという失礼な思いを抱かれないためにはどうしたらよいか。都市生活研究所の調査によれば、最も効き目がある夫の日常行動の一つは「料理をすること」である。夫が料理をするようになれば、妻の家事負担は楽になり外出もしやすくなる。また、食材の買い物などを夫婦一緒に楽しめて共通の話題も増える。
とは言え、50・60代の男性で、包丁やコンロを使って料理をする人は2人に1人もいない。台所にどうしても立ちたくない夫はどうすればよいか。その場合は、せめて「料理をテーブルに運ぶ」ことをお薦めしたい。この行動はインスタントラーメンを作ったり電子レンジ調理を行ったりするよりも妻を喜ばす効果が高いことが、重回帰分析の結果わかっている。これは「妻への思いやり」が現れやすい行動だからではないだろうか。ちなみに、以前行った調査によるとドイツとイタリアでは、夫が月に1回以上テーブルセッティングを行なっている家庭が6割を占める。
ただし、妻と離死別し、夫が突如1人暮らしをせざるを得なくなる可能性はある。その場合に備える意味では、やはり自分の健康を最低限守れる程度の料理はできたほうが安心である。最近男性向けの料理教室が増えているので、料理経験の無い男性には一度は試してみることをお薦めしたい。
図:夫がテーブルセッティングを行なう頻度