都市研コラム都市研コラム

親子料理を楽しむライフスタイル

 食を通したコミュニケーションを望む声のひとつとして、「親子で一緒に料理をしたい」と考える親は多くなっています。都市生活研究所で昨年11月に実施した調査によると、自分(母親)と子どもでは84%が「したい」又は「ややしたい」と答え、夫(父親)と子どもには68%が「してほしい」「ややしてほしい」と答えます。(図参照)
 では実際に、一緒に料理をしている親子がどれくらいいるかというと、長子が小学生であれば約半数(54%)は2週に1回以上の頻度で母と子が料理をしています。ただし父と子の料理はというと、約半数(54%)は全くしていません。

Q.「家で自分と子どもが一緒に料理」することについて、今後したい、もしくは続けたいと思いますか。(N=900)

 一緒に料理をしたいと思っていてもやらない理由を調べていくと、子どもと一緒だと時間や手間が余分にかかるので自分でやった方がいいという親側の理由が多く挙がります。しかし、これは単に教えるのが面倒だからやりたくないということとは異なります。一日の流れの中で子どもとの料理時間が位置づけられていないために、仮に一緒に料理をした暁には、例えば入浴や就寝といった次の行動が先送りになって最終的には睡眠時間が削られることを心配しているものなのです。

 一方で、一緒に料理をしている人のきっかけは何かというと、「何らの形で子どもが食に興味をもつこと」が半数を占めるのですが、4人に1人は「時間のあるときに子どもにやろうと呼びかける」ことを挙げています。そして特に乳幼児を持つ親の3人に1人は、「料理をしている姿を見せていた」ことが一緒に料理をするきっかけとなったと答えます。下図は、家庭で料理の姿を子どもに見せていたかいないかによる、乳幼児の長子の料理関心度を示したものですが、親の姿を見せていれば自然に子どもの料理への興味が高まることが改めて示されました。

Q.家庭で料理の姿を子供に見せているか別の子供の料理関心度(長子乳幼児 N=300)

 この結果を通し、本当に親子で料理を楽しみたいと思うならば、まずは子どもが自然に興味を持つように、料理を五感で感じ取れる空間を共有することが大切だと考えられます。そして、一日の流れのどこかに子どもとの料理時間を位置づけることも、親側が行わなければならないことです。ゆとりのない平日は自分ひとりで料理をし、比較的行ないやすい休日の昼間は父親も参加して家族一緒に料理をするなど、メリハリをつけたライフスタイルが求められているのではないでしょうか。

荒井 麻紀子

このページの先頭へ