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子どもがやりたがる料理行為は「トン・こね・ジュー」。

 年末年始は家族で大掃除をするというご家庭がよく見られますが、お料理となると母親が担当し、子どもは食べ終わった食器を流しに運ぶだけという場合が多いのではないでしょうか。文部科学省の調査で、お手伝いをする子どもは道徳観や正義感があるという結果が出ていることからも、お手伝いをすること自体は子どもにとって大事なことですが、何を手伝わせると子どものモチベーションが高まるか、子どもの視点で考えることも大切です。

 都市生活研究所が子どものいる家庭に調査した「子どもがやりたがる調理行為」によると、子どもに人気の高い作業は、「トントン・こねこね・ジュージュー」すなわち、切る・混ぜる・焼くといった調理行為であることが分かります。食器の片づけなどの補佐的な作業よりも、いかにも調理しているという気分を味わえる作業を好む傾向にあるのです。

子どもがやりたがる調理行為

 子どもがこうした行為をやりたいと思う理由には、同様の作業を好む母親の意見が参考になります。切る作業を好む母親にその理由をきくと、「リズムがいい」「達成感がある」を、コンロでの加熱については、「においがいい」「いい音がする」といった五感全体で感じる楽しさや達成感を挙げる人が多く、子どもも同様なのではないかと想像されます。また、小さいころ「やってはいけない」と言われて憧れが募ることも理由に挙げられるでしょう。

 子どもは4歳くらいから料理に興味を持ち始め、小学生の72%が料理に関心を持っていることが同じ調査で明らかになっています。母親が忙しい年末年始であっても、例えばお雑煮に入れる野菜を切ってもらうとか、卵焼きに挑戦するなど、できることはたくさんありそうです。たまには子どもの興味の芽を伸ばすような料理という生活体験を、一緒に行なってみてはいかがでしょうか。

荒井 麻紀子

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