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炎の匂い

いよいよ3月も終わりです。年度末の忙しさもピークを過ぎ、新年度に向けて準備を始めている時期でしょうか。
今回のコラムは、過去に実施したデプスインタビュー調査の際に頂いた、興味深いコメントについて紹介したいと思います。

このインタビューでは「日頃使っているガス」について、どのようなイメージを持っているか調査したものです。普段お使いになっているガスのイメージは?と聞かれれば、やはり連想される内容は「火力」や「炎」といったキーワードが多く挙げられます。また、「匂い」についても臭いといったネガティブなイメージは避けられません。
ですが、ガスの炎について次のようなイメージを挙げられた方がいました。

「ガスの炎の音と匂いはホッとする」

その方は、ご自身も仕事をしている働く主婦です。
平日は仕事をこなしつつ、ひとたび家に帰れば家族の食事の準備に取り掛かる忙しい日々なのではと思います。
ともすると、食事の支度についても負担感が先立ちそうですが、曰く、「家に帰りガスコンロを点けたときのボッという音と匂いを感じると[お母さん]に戻ったことを実感する」とのことです。

日々の暮らしを支えるキッチンでの何気ない行動のひとつですし、ガスコンロでなくても良いかもしれません。
しかし、炎の魅力が暮らしの一部になっている。そんな気持ちになるコメントを頂いた気がします。

宮城 禎信

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