秋の味覚といえば秋刀魚。例年、秋になると1尾100円程度の価格で売られていますが、今年は卸値でも1尾600円程度まで達するものもあり、価格が高騰しました。旬の食べものは市場に多く出回るため、他の時期に比べて価格が手頃となり入手しやすいものですが、今年は稀に見る不漁により出荷数が非常に少なくなり、価格高騰の事態を招いたようです。不漁の原因は、連日の猛暑による海面の温度上昇にあるようです。
このような地球温暖化などによる異常気象をはじめ、ビニールハウス栽培や輸送技術の発達、乱獲などにより、食べものの「旬」が分かりにくくなっています。
東京ガス都市生活研究所の調査によると、「できるだけ旬のものを食卓に出すようにしている」人は、全体で83.1%(あてはまる+ややあてはまる)と多く、旬が分かりにくくなっている現在でも、旬のものを意識して食事をしている人が多いことが分かります。
旬のものを食べたいというニーズは確かにありますが、今年は「ここまで高くなってしまうとお客さまに買ってもらえない」と、秋刀魚を入荷するのをやめたお店も出ているようです。「旬のものは安くておいしい」という考えが一般的であることもあり、価格が高いと手にとってもらえないと判断したようです。
一方で、同調査の「多少高くても良い材料を使って料理している」という設問を見ると、(あてはまる+ややあてはまる)と答える人は、全体で65.8%と高く、70代以上では81.5%にも及びます。「多少」がどの程度を示すのかは生活者にもよりますが、高くてもよいものを食べたいと思う人も多くいることが分かります。
お客さまが求めるニーズは何で、そこにどの程度お金をかけてくれるのか。年代なども考慮して、ニーズの強さや価格への意識を見極める必要がありそうです。