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手間をかけるとは? ~共働き女性の省力化~

 共働き世帯は年々増加しており、平成9年以降は共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回りました。近年では、少子化対策の観点から、子育てと仕事の両立支援等を進めるために、育児・介護休業法が改正され、子育てをしながら働き続けられる環境が整われつつあります。この改正法のなかでは「父親も子育てができる働き方の実現」に向けた項目の見直しも行われており、女性だけでなく男性も育児や家事を、という風潮は広がってきています。しかし、主に家事をしているのは、いまだに圧倒的に女性が多いようです。
 子育てをしながら働いている女性(以下、共働き女性)はどのような生活を送り、何を思っているのでしょうか。
 都市生活研究所が行った定点観測調査(2008年)によると、共働き女性ほど、調理の省力化・合理化に積極的であることがわかりました。
 お惣菜などの「買ってきてそのまま食べられる料理」の利用頻度を見ると、共働き女性は月1回程度以下が約3割ですが、共働きでない女性は45.8%と高くなっています。共働き女性は、お惣菜などを利用し、省力化をしているようです。


あなたは家で「買ってきてそのまま食べられる料理」をどのくらいりようしますか
 また、共働き女性は、下ごしらえ済み食材や半調理品、市販の冷凍食品を利用することについても「よくある」と回答している人が、共働きでない女性に比べて10ポイント以上高くなっています。利用頻度の実態と、どの程度利用しているかという意識は一致していることがわかります。


下ごしらえ済み食材や半調理品を利用すること

 しかし、お惣菜などの省力化を手助けするものの利用頻度と、手間をかけているかどうかの意識は、一致していないことがわかりました。
 「調理の手間をかけるほうであるか」という設問に対して、「たいへんA(調理の手間をかけないほうである)に近い」の割合は、共働き女性と共働きでない女性とで、ほとんど違いが見られません。お惣菜や冷凍食品の利用についての実態や意識は、共働きか否かで大きく異なりますが、手間をかけているかどうかの意識は変わらないようです。


料理に関して「A調理の手間はかけないほうである」「B調理の手間をかけるほうである」

 「手間をかける」という意識は変わらなくても、省力化の実態には大きく差があることから、共働き女性の省力化ニーズを実現するためには、意識だけでなく実態についても詳細に明らかにすることが重要だと考えられます。さらに、「手間をかける」とは具体的に何を指しているのか、深堀する必要がありそうです。

河内 亜沙美

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