都市生活研究所が既婚男性を対象に行なった、料理に関する調査によると、得意料理の1位はカレー(52%)でした。続いて2位は炒め物(37%)、3位はパスタ(33%)となっています。
いずれも、具材や調味料、手順などを自分でアレンジして工夫を楽しむことができるメニューです。素材からすべて自分で作る、本格手作り派もいるでしょう。また、市販のルーや合わせ調味料、パスタソース、冷凍食材などの加工食品を上手に活用する合理派もいるはずです。一口にカレー・炒め物・パスタと言っても、多種多様な"得意の一品"が、男性料理の食卓を彩っていることと思われます。
カレー・炒め物・パスタに限らず、料理の手間を軽減したり、家庭では出しにくい味を出したりするための、様々な加工食品が市販されています。男性は料理をするとき、加工食品をどのように取り入れているのでしょうか。
利用度合いを年代別にみると、加工食品を2つのグループに分けることができます。利用する人の割合に年代差が無いものと、年代差があるものです。
年代差が無いものは、カレーやシチューのルー、パスタソースといった加工食品です。カレー・シチューのルーはどの年代でも約9割、パスタソースは6割強が利用しています。
カレーやシチューを市販のルーを使わずに作るには、沢山のスパイスを集め、粉を炒めるところから取り掛からなければなりません。パスタソースも、にんにくや玉ねぎなどを細かく刻む必要があります。いずれも完成までのプロセスが多く、時間もかかり、いつでも同じような仕上がりになるとは限りません。
一方で、市販のルーやパスタソースを使えば、調理の手間や時間を大きく省くことができます。仕上がり状態も安定し、失敗も少なくなるでしょう。これらの「一から作ると大変な料理を、手軽に作れるようにしてくれる」タイプの加工食品は、どの年代にとっても欠かせないものとなっているようです。
利用する人の割合に年代差がみられるものは、レトルトの合わせ調味料、冷凍素材、カット野菜といった加工食品です。これらは、年代が低いほど利用する人の割合が高くなっています。
レトルト合わせ調味料を使えば、調味料を何種類も買い揃える必要がありません。また、いちいち量らなくても、手軽に味付けをすることができます。冷凍素材やカット野菜は、材料を洗う・切る・下ゆでするといった下準備を省く商品です。これらの加工食品は「無くても済むが、あるとより手軽」なタイプの商品と言えるでしょう。
カレールーやパスタソースに比べると、このようなタイプの加工食品は新しく普及したものです。年代が低いほど利用する人の割合が高いのは、子どもの頃からこれらが家庭にあったり、目にしたりした機会が多く、当然のものとして受け入れられているためではないでしょうか。
「男性の料理」というと、手作りにこだわった特別な料理や、豪快な野外料理といったイメージを持たれることがあります。しかし、すべてがこだわりの非日常的な料理ではないようです。調査からは、上手に加工食品を取り入れて日々の料理を行なっている男性の姿が浮かび上がってきます。また、その取り入れ方には年代による差がみられることから、"得意料理"として挙げられるカレー・炒め物・パスタの具材や作り方にも、異なった傾向がありそうです。
なお、男性の料理実態全般については、都市生活レポート「男性の料理に関する意識と行動2011」をご覧ください。