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日本の夏と風呂文化

 先月、古代ローマと現代日本の風呂文化をテーマにした話題の映画「テルマエ・ロマエ」を観てきました。古代ローマ人に扮する男優陣の配役の秀逸さ、原作コミックにも負けないストーリー展開に大いに楽しませていただきました。映画「テルマエ・ロマエ」については、都市生活研究所が主宰する「風呂文化研究会」が連携しているお風呂情報サイト「湯の国」でも特集が組まれていましたが、日本人が愛する風呂文化について、認識を新たにするとともに、その奥深さを実感しているところです。


 風呂文化といえば、これまでに都市生活研究所では様々なテーマで「お風呂」に関する調査・研究を行ってきました。最新のレポートは生活者の入浴実態について調査した「現代人の入浴事情2012」です。この調査によれば、全体の8割以上の人が「お風呂に入ることが好き」と回答しており、テルマエ・ロマエでも描かれている日本人のお風呂好きがデータにも表れています。
お風呂に入ることがどの程度好きか


 しかし、「お風呂に入る」と一言でいっても、そのスタイルは万国共通ではないことはご承知のとおりかと思います。欧米では、浴槽入浴することは非日常的な行為であり、古代ローマ時代には盛んであった湯につかる文化も、その後のキリスト教の考え方や気候風土の影響等もあり、現代では「お風呂に入る=シャワー入浴」が一般的のようです。
 一方で日本の入浴スタイルをみてみると、やはり浴槽入浴が主流となりますが、割合として一番多いのは、夏場はシャワー入浴、夏以外は浴槽入浴という入浴方法を季節によって切り替えるスタイルでした。高温多湿な日本の夏においては、「暑いときはお湯につかりたくない」という意識が強く働くためと思われますが、このように気候やその日の気分によって入浴法を変えることができるのも、日常的に「湯につかる」文化を持つ日本独特のものなのかもしれません。
入浴スタイル

 ところで、暑い夏といえば、今年の夏も昨年ほどではありませんが、継続して節電が求められています。クールビズも1ヶ月前倒しとなる5月からスタートし、最近ではネクタイを締めているビジネスマンもあまり見かけなくなるなど、クールビズが広く普及してきていることを実感しています。そうした状況の中、一般のご家庭では、エアコンの使用を控えたり、設定温度を高めにする方も多くいらっしゃいそうです。熱中症の注意喚起が行われていますが、あまりに無理や我慢をして体調を崩したり、暑さでストレスを溜めてしまうことは避けたいところです。
 そんな時期こそ日本ならではの「お風呂」を活用してみてはいかがでしょうか。東京ガスの「話のたまご」で、これまでの都市生活研究所の研究で明らかになった暑い夏を快適に過ごすための入浴法をご紹介しています。シャワーを上手に活用して暑さを和らげ、一日の終わりには「湯につかる」ことで蓄積した疲れをリフレッシュ。日本ならではの入浴文化を楽しみながら、今年の夏を元気に乗り切りましょう。

島村 俊哉

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