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父親の料理

 最近、書店へ立ち寄ると、男性向けの料理本が目に付きます。カジメンという言葉が流行り始め、キッチンショールームにも男性客が倍増しているとのことです。
 今夏、生活実態について都市生活研究所で調査したデータでは、「小学生~中学生の頃、父親が料理をしていた」という男性の割合は、70代から年代が若くなるにつれて増加しています。例えば、60代男性が小学生~中学生の頃というと、約50年前です。10代男性においては、つい最近ということになります。現在の父親は、約40年前の父親と比べて、自宅でよく料理をするようになったと言えるでしょう。さらに料理の頻度を見てみると、特別な時だけ料理するのではなく、「週に1回以上」もしくは「月に1~3回程度」と、定期的に料理をする父親が増加しています。(図1)


図1 あなたが小学生~中学生の頃、あなたの父親はご自宅で料理を行なっていましたか。(SA)

 ところで、同じく都市生活研究所で実施した別のデータをみると、日常的に料理をしている男性ほど、「子どもの頃、父親が料理をしていた」という回答割合が増えています。父親が料理をする姿を見て育った男性は、成人してから料理をよくするようになるという傾向が表れています。(図2)


図2 子供の頃、あなたの父親は料理をしていましたか。(SA)

 父親が料理をする姿を日常的に見ている現在の10代、20代の男性たちは、将来料理をする父親になっていくと考えられます。近い将来は「料理ができる父親」は当たり前になるのかもしれません。
 初めて一人暮らしを始めた頃、ダシをとるところから凝りすぎて、味噌汁作りに1時間かかった苦い経験があります。料理にはなかなか手を出せずにいましたが、このようなデータを見ると、子どもができるまでには「料理ができる父親」にならなければ、と思ったこのごろです。


足立 昌光

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