新年度が始まりました。学校、職場など周囲の環境が変わるとともに、お住まいを移し、新生活をスタートさせる方々も多いのではないでしょうか。
今回は、親世帯と子世帯が近くに住む「近居」について一部のデータをご紹介します。
最近、世間では近居が増加傾向にあるようです。そういったなか都市生活研究所では、一都三県在住の既婚女性で「相手世帯の近くに住んでいる」という意識がある人を対象に、近居の暮らしについて調査をしました。
〔調査対象 子世帯:20~40代、親世帯:50~70代 N=248〕
近くに住むことを選んだ理由では、「何かあったときにすぐ駆けつけられるから」「子育て協力」が上位に挙がりました(図1)。
近くに住むことによって、必要なときにお互い助け合おうとしている意識が伺えます。
また、相手世帯との関係では、ある程度の距離感を保ちたいといった気持ちもあるようです。
親世帯を対象に「子世帯との関係のあり方」についての理想と現実を聞いた結果では、「お互いに干渉しすぎない」「付かず離れずの一定の距離をおく」が、理想の姿・現実の姿ともに高くなっています(図2)。
さらに、他の項目を含めて見てみると興味深い差が見られます(図3)。
親世帯にとって、近居相手が息子世帯(親の実息子と配偶者の世帯)か、娘世帯(親の実娘と配偶者の世帯)かによって、理想と現実のギャップに違いがあることがわかりました。
息子世帯との近居の場合には、特に「お互いに気を使いすぎない」「悩みを相談し合える」「何事も本音で話し合える」といった項目について理想と現実のギャップが大きく、現実の暮らしでは、息子世帯に対して気兼ねしている母親の姿が浮かびあがってきます。
一方で、娘世帯との近居では、息子世帯と比べて全般的に理想と現実のギャップが小さくなっています。
日常の暮らしの中では、なかなか息子との接点が取り辛いということも考えられますが、やはり母と娘のつながりの方が、息子に比べて気兼ねない関係のようですね。