ゴールデンウィークが終わってしまいましたが、働いていたり、子どもが学生だったりと、長期間休みをとることが難しい人にとっては、帰省や旅行をするのに貴重な休日になったのではないでしょうか。そのような人達をターゲットとして、毎年連休前には各旅行会社のホームページなどで、様々な旅行特集が紹介されています。一方で、連休の時期とは関係のないプランも数多く存在しています。中でも近年では、60代半ばのいわゆる団塊世代をターゲットとした旅行プランが多く登場しているようです。子育てが終わり、退職を迎えて、時間的なゆとりができた彼らに、こだわりのある旅を満喫してもらおうというものです。では実際に、60代は旅行をしているのでしょうか。
都市生活研究所では昨年度、団塊世代とほぼ同年代である1946年~1950年に生まれた人達(都市生活研究所の世代の定義では、「創食世代」に相当。2013年で63~67歳。)を対象とした調査を行いました。
現在行っている趣味や余暇として、国内旅行を挙げている人は64.4%、海外旅行は35.2%であることがわかりました。また、国内・海外旅行をすると回答した人に頻度を聞いてみると、海外旅行は年に1回程度、国内旅行は2~3か月に1回程度の頻度で行く人が最も多いようです。(図1)
インタビューからも、退職後に時間ができたから、年に数回旅行をするようになったという声が多く聞かれました。
また、今後行いたい趣味・余暇を見ても、国内旅行、海外旅行ともに上位を独占しており(図2)、団塊世代は「旅行をしたい」という意識が高いことがうかがえます。
これまで家庭や会社中心の生活を続け、やっとそれらから解放されて、自分の好きなように時間を使えるようになった団塊世代。退職により収入は減ったものの、生活のすべてを節約して生活をしている訳ではなく、"やりたくてもできなかった趣味・余暇活動"には積極的に取り組んでおり、今後も行いたいと考えているようです。
実際に、団塊世代向けの旅行プランでは「こだわり」を売りにしたものが多く出ていますが、「自分はこういう旅行をしてみたかった!」と思わせるプランには、お金を惜しまずに使ってくれると考えられます。
人口ボリュームが多く、消費のターゲットとなりやすい団塊世代。今後行いたい趣味・余暇活動では、パソコンや散歩、運動など日常的なことも上位に挙がっています。団塊世代の心を捉えるためには、旅行に限らず、日常的な行動においても、"これまでやりたくてもできなかったことは何か"、"今だからこそやりたいことは何か"を見極めた提案が必要なのかもしれません。