みなさんのご家庭では蒸し料理を作っていますか?
寒い冬の日、湯気の立ったお鍋やせいろに並んでいるおまんじゅうをアツアツでいただいたくのは本当においしいですし、野菜と肉の重ね蒸しなどはおいしい上にお手軽な料理の代表格ですね。
一般的な蒸し料理では、「蒸し鍋」を使って調理します。蒸し鍋は、鍋が2段重ねになっていて、下の段には水を入れ、上の段に食材を入れて、上下は穴の開いた板(中敷き)で仕切られており、下段の水を沸騰させて蒸気を発生させ、食品を加熱します。このような方法で蒸し料理をするのは、昔ながらの方法ですが、最近ではもっと手軽に電子レンジで使えるスチームケースなどを利用する方法も増えているようです。
そこで、都市生活研究所では、生活者が蒸し料理をどのように日常に取り入れているのかを調査しました(「蒸し料理についての意識と実態に関する調査」2013年6月実施、対象者:20~69歳の週3回以上調理する女性1121名)。
その結果、図1より「野菜を多く食べることができる」ことが食事を作る上で最も重視されていることだと分かりました。また、多くの生活者は図2に示すように、蒸し料理について「油を使わない」、「野菜をたくさん食べることができる」というイメージを持っていることが分かりました。
これより、「蒸す」調理法は野菜を多く摂取する健康な食生活を実現できる調理法だと考えられていると言えそうです。
さらに、実際に家庭で作る蒸し料理を調べた結果を図3に示しました。これより、イメージ通り、「蒸し野菜・温野菜」が最も多く作られていることが分かりました。名前からも蒸し料理というイメージが強そうな「茶碗蒸し」などは手間がかかるためか、実際には約38%しか作られていませんでした。最近では、茶碗蒸しは自宅で作るよりもお店で食べる方が多いのかもしれません。
一方、蒸し料理の調理に使う調理器具については、図4に示すように、シリコンスチーマーなどの電子レンジ用容器の所有率が高く、約64%以上の人が所有していました。一方で、蒸し鍋の所有率は約44%でした。やはり、大きな鍋にお湯を沸かして調理する方法よりも、電子レンジ用容器を使った調理方法の方が手軽で人気のようです。また、近年では、シリコンスチーマーを使ったおしゃれで簡単なレシピを紹介した本や雑誌なども多く見られることもその人気の一因かもしれません。
このように手軽かつ一度にたくさん野菜を食べることができる蒸し料理ですが、野菜以外の食材も手軽においしく調理することができます。特に、蒸し鍋を使った調理だと、たっぷりの蒸気で調理するため、食材の水分を損なうことなくしっとりと仕上がります。これはおまんじゅうや蒸しケーキなどを蒸すのに最適です。また、魚や肉を蒸しても旨みを閉じ込めてふっくらジューシーです。
「蒸し鍋の準備が面倒で...」という声も聞こえてきそうですが、実はそうでもありません。一度水をセットして沸騰させてしまえば、あとは食材を上段に入れるだけです。蒸し鍋をご家庭でお持ちでない場合は、両手鍋の底に蒸し板を入れて代用可能です。意外と手間はかからない上に、仕上がりは本格的。
手軽に使える電子レンジ用容器ももちろんですが、たまには蒸し鍋を使った蒸し料理を作ってみるのはいかがでしょうか?新しいレシピのレパートリーが増えること間違いなしです。
蒸し調理についてより詳しく知りたい方は、ぜひ「蒸し調理」の研究に関する都市生活レポート(2015年2月公開)をご覧ください。