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メリる生活・ハリる生活

 05年から06年の年末年始には、いろいろな場面で05年の総括と06年の展望が語られた。対象となった分野も、株価に代表される経済動向予測から暮らしぶり予測までさまざま。共通しているものといえば、予測の大半が、明るい展望を示したことだ。

 都市生活研究所の調査でも、「5年後の経済的なゆとり感」については、4割近い人(38.8%)が改善すると考えており、今と変わらないと回答した 38.8%の人もそのうち57.2%はすでに経済的なゆとり感に満足していると回答されており、「経済的ゆとり」については、徐々に明るい雰囲気に向かうという結果を示している。(2005年実施・生活定点調査より)。

「5年後の経済的なゆとり感」に関してのアンケート結果グラフ

 これら経済的な回復も含め、"経済的なゆとりの回復と時間のゆとりの拡大(定年後生活者の増大など)"を今後の基本トレンドとし、05年12月に「2006年近未来予測として生活レシピ」では、"自分らしい生活を求めていける環境が整った"との見通しから、「メリる生活・ハリる生活へのシフト」という近未来コンセプトを予測した。

 「メリる」・「ハリる」とは「メリハリ」から作った造語である。

 「メリハリ」とはよく耳にする言葉であるが、語源をご存知だろうか。諸説はあるものの、そのひとつに楽器を元にした語源がある。弦楽器の場合、弦をハルと音程が上がり、弦をメル(緩める:「減る」と書く)と音程が下がる。心に響く音楽を奏でるためにはこのメリとハリが必要であるということだ。この「メリハリ」という言葉。もはや音色以外の場面で見ることの方が一般的になっている。「メリハリのある仕事」「メリハリのある余暇時間」などなど。そう、生活を「楽」しむためにも、「メリハリ」は重要なのだ。
 経済的、時間的ゆとりが、自分の好みに合った「メリ」と「ハリを実現する生活」へのこだわりを高める。そして「メリ」と「ハリ」を実現する生活に関する様々な商品・サービスへのニーズが増すと考えている。

※なお、「メリる」と「ハリる」。語源を考えれば、その動詞は「メる」「ハる」という方が言葉的には、正しいのかもしれません。ただし、ここでは、"意識的により快適なメリハリ生活を実現すること"をより強く表すため、「メル」と「ハル」いう動詞をもう一段動詞化して「メリる」「ハリる」としています。メリる生活・ハリる生活については、「2006年生活レシピ」をご覧ください。

都市生活研究所 豊田 裕貴

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