春は転居が多い季節。賃貸住宅だけでなく新しく購入した家への転居もこの時期が多い。生活者は、住宅を選ぶ際に何を重視しているのだろうか。東京ガス都市生活研究所が関東圏居住者に対して行った調査によれば、「住宅を購入する際に特に重視された項目」のベスト4は、一戸建てでも集合住宅でも同じ、「広さ」「部屋数」「間取りの使い易さ」「採光」の4項目である。これら4項目は、20年前でも最近でも変わらない。これは、土地の確保が課題であり続けた関東圏の住宅事情や採光を重視したくなる日本の気候風土を考えれば納得できる。念のためベスト5までご紹介すると、これらの項目に続いて重視されているのは、一戸建てでは「通風」、集合住宅の場合は「収納」である。
重視する人の増加が最も顕著なのは、キッチンと浴室である。20−25年前に住宅を購入した人のうちキッチンを「特に重視した」という人は12%であったが、ここ5年以内に購入した人では26%にも上っている。浴室も、20−25年前では約8%だが、5年以内では22%になっている。重視した人が増えた分、「もっと重視しておけばよかった」と後悔する人は減少している、例えば浴室を重視しなかったことを後悔した人は20年前では約2割だったが、5年以内に購入した人では7%に減少している。
しかし、重視したからと言って、必ずしも後悔が減るとは限らない。キッチンや浴室の他に収納や防犯性、内装デザインなどの重視率も高まってきているが、これらについて後悔する人の割合は、あまり変わっていない。後悔される項目のトップである「収納」に関しては、20年前も今も変わらず3割前後の人が後悔し続けている。防犯は1割前後、内装は6~10%の人が昔も今も後悔している。購入時にはこだわったとしても、将来の状況変化を予測するのが難しく、満足し続けるのが困難な項目なのかもしれない。