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LOHAS(11) 究極の輻射暖房と無垢材の暖かさ

 恒例になったLOHASキャンプシリーズですが、今回は焚き火の暖かさとログハウスの暖かさを科学的な面からアプローチしてみました。場所は、既に私たちのホームベースになったとなった山梨県道志村です。2月の中旬、外気温は0℃と焚き火の暖かさを感じるには最適!な気候です。(参考1参考2参考3

 さて、雪がちらつく中焚き火の温度測定を開始しました。今回の測定では、外気温度を測る温度計と、焚き火の輻射温度を測るグローブ温度計、焚き火にあたっているときの人の温度を測るサーモビュアーを使いました。

焚き火の温度測定写真


焚き火の温度測定調査の結果グラフ

 先ずは、焚き火の輻射温度から測定を開始しました。上のグラフをご覧下さい。
 外気温度は、0℃近く、焚き火から離れた場所では、とても長時間じっとしていられる温度ではありません。しかし、焚き火付近の空気温度は6℃になります。さらに、輻射温度は16℃となり、寒い冬の屋外でも、焚き火にあたっていると長時間過ごすことが出来るのです。次は、焚き火にあたっている人の温度測定です。

焚き火にあたる人の上半身の温度調査結果のサーモグラフィー

 上の図をご覧下さい。これは焚き火にあたっている人の上半身の表面温度を測定した結果です。図の形から、頭から胸の付近の形状が見てとれます。人の胸付近の表面温度は40℃くらいになっているのがわかると思います。焚き火にあたっているとぽかぽかする理由がわかりますね。

 次は、ログキャビンの室内温度測定です。キャンプに来ているのに測定実験の連続です。ログキャビンは無垢の木材で出来ています。窓枠なども、アルミサッシではなく木枠です。最新の戸建て住宅は、高気密高断熱住宅という、分厚い断熱材で囲まれて気密性の良いサッシもあり、一見したところ今回宿泊したログキャビンは、最新の住宅からはほど遠くとても寒いのではないかと心配していました。8畳ほどのログキャビンには、小さな灯油ストーブが1つ。当日は朝からストーブを付けておき、部屋を暖めていました。それでは結果をご覧下さい。

室内でストーブをつけた場合の室内温度の変化グラフ

 夜中の0時まで、ストーブを付けて、室内で過ごしていました。室内温度は、15℃程度あり、とても暖かいというわけではありませんが、木製の床面も冷たくなく快適に過ごすことが出来ました。夜中の0時にストーブを切り、翌朝の8時までは暖房無しで就寝しましたが、明け方の室内温度は8℃程度ありました。外気温度は氷点下まで下がったにもかかわらず!!以前のコラムで寝室温度についてお話ししましたが、外気温度が氷点下まで下がらない東京都内の住宅でも、寝室温度が10℃以下のお宅はたくさんあります。そんな中、氷点下の外気温で、今回の寝室温度は非常に優秀な値です。小さな空気層がたくさんある無垢の木材が、暖房の熱を蓄えて天然の断熱材となり、外の寒さから守ってくれたのです。

木の枝に積もった雪の写真

朝起きてみたら、周囲は一面の銀世界でした。木の枝についた雪が太陽に照らされて、キラキラしています。今回のキャンプでは、今まで漠然としてしか感じていなかった輻射熱のありがたさや自然素材の優秀さを、具体的な数字で理解することが出来ました。焚き火は非常に原始的な暖房ですが、文明が発達した現代においても、その快適性は一級品です!そのうえ、心まで暖かい気持ちにしてくれます。スイッチ一つで何でも出来る世の中にいる自分にとって、本物とは何かということを考えさせられる一日でした。

Viva! Make Lohas!!

都市生活研究所 松前 和則

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