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家生活の充実が求められる時代へ

 近年、ワークライフバランスへの関心が高まっています。目指すのは、仕事だけでなく私生活の満足感を求めることが当たり前になる社会。人生全体の質を高めるために大変重要な考え方です。
この、ワークライフバランスへの社会的関心の高まりの背景には、仕事中心社会の弊害によって少子化が進展していると指摘する声があります。
 つまり、仕事以外の生活の価値観を高めることが、少子化対策につながるというもの。加えて、企業にとっても、ワークライフバランスを可能にする働き方を掲げることが優秀な人材の確保につながると考える向きもでてきており、拍車をかけているのです。

 そして数年後、社会で働く人々に、めでたく私生活の満足感を手に入れることができる時代がきたとします。その私生活を充実させるための場所とはいったいどんな場所なのでしょう。
 1都3県居住者に「充実したい理想の生活」について聞いたアンケート調査から考えてみたいと思います。
 調査によると、共働き既婚者の約半数は家での生活の充実が理想と考えています【図】。家も外も同じくらい充実させたいという3割を合わせると、圧倒的に家生活を充実させることが仕事以外の生活の満足感につながるようです。このうち、最も家生活の充実をはっきり示した40代は、そのうちの半分に中高生の子供がいることもあり、一緒に外出しない子供との大事な時間を過ごせる場所として、家の価値を大事にしています。また、50代は単に「のんびりしたい」に加え、「時間があったら寝ていたい」、又は「外出すると疲れるから」など疲れを癒すために家にいたいという理由が目立ちます。
 また、どちらも充実したいニーズの強い30代以下は、6割が夫婦2人だけのDINKS。
 同様に、60代以上では夫婦2人と18歳以上の子供との同居が半々を占める子育て終了世代。家でも外でも充実していたいアクティブな理由が目立ちます。
 ただし、30代以下では結婚生活がはじまったばかりということもあって、「家が好き」かつ「外でも家族で楽しみたい」といった理由が多い一方、60代以上になると、「家でゆっくりしたい」でも「趣味友達と外で楽しみたい」という個としての理由が多く見られました。
 理由は様々であるものの、家での生活が充実することによって、人生の豊かさが何倍にも膨らむことでしょう。

 しかしながら、私生活の時間が継続的に増えることで、家でだらだらと過ごしてしまう可能性も指摘されます。
 定年後の年代の方へのヒアリング調査で「何をしていいかわからない」といったストレスが明らかになっており、時間的ゆとりが生活の不満につながることもあり得ることを示しています。つまり、仕事中心の毎日から解放され、家での生活が増えたときのために、本当に必要な時間ってどんな時間だろう、と今から考えておくことが必要なのです。
 ちなみに私の理想の家生活は、TVがなくてもくつろげる癒しの空間と自己実現のための刺激の空間があること、そして自然と人が集まるおいしい料理があることです。当たり前のようでいて、満足するには、意外と計画性が必要だと思いませんか。

1都3県居住者に「充実したい理想の生活」について聞いたアンケート調査結果グラフ

都市生活研究所 荒井 麻紀子

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