さて、このコラムの中でも季節の風物詩となりつつあるキャンプシリーズ。前回は、真冬のキャンプをご紹介しましたが、今回は緑にあふれる6月のキャンプです。場所は恒例の山梨県道志村。キャンプを通じて感じた、豊かな時間を過ごす喜びについて紹介します。
梅雨の最中でしたが、当日は雨も降らず、絶好のキャンプ日和です。半袖一枚で暑くも寒くもなく、豊かな時間を過ごすための第一段階はクリアです。
午後からキャンプ場に入り、外が明るい時間からキャンプを楽しみます。先ずは、焚き火のための火起こしからスタートです。周囲が明るい中での焚き火は、炎の向こう側の景色が透けて見えます。また焚き火の新しい魅力を発見しました。これから日が暮れて行くにつれて、焚き火の表情も変わっていきます。
食事の準備も始めます。キャンプも回数を重ねるたびにあわただしく動くこともなくなり、皆マイペースでのんびりと行ないます。まさにLOHAS!!先ずは、スイカを冷やします。道志村のきれいな水でゆっくりと時間を掛けて冷やします。また、同時に薫製の準備も始めました。薫製は初挑戦ですが、分厚いベーコンと、チーズを、これまた時間を掛けてゆっくりスモークします。
そして、屋外のキャンプに欠かせないのが、蚊取り線香。近年は、気密性が良すぎる閉めきられた住宅に住むことになれてしまっているために、虫に悩まされることも少なくなっていますが、ここは大自然の中。当然虫もやってきます。蚊取り線香からゆらゆらと立ち上る煙を見ていると、日本の夏を実感できます。
食事の準備をしていると、おなかが減ってくるものです。焚き火の炎を少し弱めて、焼き物を始めます。カニの網焼きです。酒を飲みながら、カニ味噌をぺろり!何とも言えない至高の瞬間です。
そうしているうちに、薫製がいい塩梅に出来上がりました。会話を楽しみながら、出来立ての薫製を頂きます。う~ん。最高。まさに、体の奥底から豊かさがこみあげてきます。
周囲もすっかり暗くなり、焚き火の炎が林の中を照らしています。夜の炎はとても力強く、そばにいるだけで不思議と安心 感があります。遙か昔の人々は、こうやって夜を過ごしていたのでしょう。昼から冷やしていたスイカもすっかり食べ頃です。皆、少年のようにスイカにかぶりついています。その顔からは笑顔が溢れんばかりです。
このようにゆったりと過ごしていると、自然に眠たくなるものです。お酒が入っているせいかもしれませんが、本当にリラックスした時間を過ごしていると眠りも自然にやってきます。
翌朝・・・。ぐっすり眠ったおかげで、皆さわやかに起床です。朝食は、スプレッドエッグを作り、チーズとサラダを一緒にパンに挟んで頂きます。高級ホテルの朝食など足元にも及ばないようなおいしさです。
無理をせずに自然体で過ごすことで、最後まで豊さを味わうことが出来ました。おっと、忘れていました。家に帰るまでがキャンプです。帰路のクルマも無理をせずに安全運転なのは、言うまでもありません。家に着いたらキャンプの片づけをしながら、余韻を楽しみつつ次回の構想を頭の中で巡らせます。次は実りの秋に、何を焼こうかな?
都市生活研究所 松前 和則