都市生活研究所で実施している生活定点調査の過去20年間のトレンドのひとつとして、生活者の環境に対する意識が高くなっていることが挙げられます。2008年3月に実施した調査においても、他人と比べて環境問題に関心が高いと考える人は約74%にのぼり、関心の高さが伺えます。
特に、今年は京都議定書の第一約束期間がはじまり、7月には地球環境問題が大きなテーマとなる洞爺湖サミットが開催されるなど、今まで以上に環境問題が注目されるのではないでしょうか。一口に「環境問題」といっても使われ方はさまざまですが、生活者は「環境問題」という言葉をどのようにとらえているのでしょうか。
生活者に「環境問題」という言葉に対する考えやイメージを自由に回答してもらったところ、最も多く挙げられたのが「地球温暖化」であり、「CO2削減」などもあわせると、環境問題として『地球温暖化』をイメージする人が多いことがわかります。
図1 「環境問題」という言葉に対する考えやイメージ
また、「環境問題」は地球規模で社会的な問題ととらえる人が比較的多くみられ、「実践が難しい」「日々の生活ではピンとこない」「ブーム・流行」といった意見もみられました。生活者にとって地球温暖化への関心は高く、何かをしなければいけないと思いつつも、「環境問題」という言葉を身近に感じられない人が少なからずいるようです。
一方、同じ調査の中で環境問題に対して「自分が努力したいこと」を自由に回答してもらったところ、約半数がゴミの分別や削減・リサイクル、約4割が省エネに関して記述がありました。回答者の多くが既に実践していることを回答しており、日々の生活の中で地球温暖化防止に資する行動が行われていることがわかります。これらの結果から、生活者が「環境問題」という言葉からうける地球温暖化や地球規模の社会的なイメージと、日々の環境問題に対する行動が結びついていないようにも見受けられます。
地球温暖化対策は喫緊の課題であり、特に二酸化炭素排出量が増加している家庭部門での対策が重要となります。今後、生活者に対して地球温暖化対策のさらなる取り組みを普及させるにあたり、生活者がイメージする環境問題と、その取組みが結びつくように言葉を選び、伝えていくことが鍵となるのではないでしょうか。