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理想の洗面室は?(2)~洗面室は「過ごす場所」となることが求められる~

 前回のコラムで浴室隣室空間を、洗面空間(身だしなみ行為を行なう空間)と家事空間(洗濯を行なう空間)を視覚的に分離することにより、それぞれの空間の価値がより高まるのではないかと述べました。今回は、今後求められる洗面空間について、具体的なニーズをご紹介します。
 理想の洗面室へのニーズを探るために、深層心理投影法によるインタビュー調査を行ない、分析した結果、3つの特徴的なニーズ((1)気持ちの切り替え、(2)心身の浄化・再生、(3)彩り)があることが分かりました。

 (1) 気持ちの切り替え
このニーズは属性に関わらず、全ての対象に共通のニーズです。インタビュー調査では、朝日が差し込んでいたり、ほの暗く少しオレンジ色がかった照明のような写真が選ばれました。

気持ちの切り替え(朝の光、夜の照明)

 これらは、時間の流れを空間(朝の光、夜の照明など)で感じ、気持ちの切り替えをしたいという、内なる欲求を示すものです。洗面室では、現状でも、朝に顔を洗うことで目覚めたり、帰宅後に手を洗うことでONからOFFへと気持ちの切り替えを行なっていますが、今後は行為での気持ちの切り替えにプラスして、空間でも時間を感じ気持ちの切り替えができることが求められています。

 (2) 心身の浄化・再生
このニーズは、ストレスが多く、仕事や生活に疲れているような有職男女に多い傾向でした。選ばれた写真を見ると、水や海の写真が多く見られます。

心身の浄化・再生(水、海)

 これらは、心身を洗い流したい・ほぐしたい(浄化したい)、心身を活性化したい・癒したい(再生したい)という内なる欲求を示すものです。入浴での浄化・再生効果をさらに高め、入浴後に心地よさを楽しめる空間、例えば、入浴前後に運動や美容行為ができること、入浴後に心地よいさらっと乾いた床、肌ざわりの良いタオルが使えることが求められています。

 (3) 彩り
このニーズは、女性層のうち自分をきれいにすることに意欲的な層に特徴的に見られました。選ばれた写真を見ると、宝石や香水の写真、ホテルの写真などがあります。

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彩り(宝石、香水、ホテル)

これらは、自分を美しくきらきらさせ、贅沢な気分になりたい、という内なる欲求を示すものです。今後洗面空間は、よりプライベート感の強い自分専用の空間として、化粧のしやすさや、気持ちを高めてくれることが求められます。

浴室隣室空間は入浴前後の着脱衣をメインとした浴室のオマケ的な存在から、1日の生活の中の句読点となる大切な役目を期待される場へ変わろうとしています。浴室隣室空間の在り方が、これからの住まいのキーポイントのひとつになりそうです。

都市生活研究所 興梠真紀(こおろきまき)

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