こだわっているものやこだわっていることはあるでしょうか。
都市生活研究所の調査によると、生活者の約半数が日々の生活の中でこだわっているものやこだわっていることがあるようです。
こだわっているものやこだわっていることは様々だと思いますが、そもそも「こだわっている」とはどのようなことなのでしょうか。
「こだわる」という言葉は数多くの分野でいろいろな意味合いで使われているようですが、生活者が考える「こだわっている」状態とは「今まで長期的に行なっており今後も行なう」すなわち「継続」できること、「好きである」こと、「手間をかける」こと、「時間をかける」こと、「積極的に情報収集する」ことであることがわかりました。
生活者にとって「こだわり」とは、自分が好きなものに対し、生活の中で手間や時間をかける行為であり、ライフスタイルに反映されるものであるといえるでしょう。
一方で企業側は「こだわり」をどのようにとらえているのでしょうか。
住宅や不動産の広告を見ると「こだわりの住まい」といった表現がよくみられます。この「こだわりの住まい」とはどのようなものか、広告を調査し分析を行ないました。その結果、キーワードとして、「都会的」「スタイリッシュ」「安心」「開放感」「私らしさ」などが挙げられていることがわかりました。
それらを実現するために、スタイリッシュな外観デザインやシティホテルのような洗練された雰囲気といった言葉で説明されるような『デザイン性』、24時間有人管理やオートロックといった『セキュリティ』、ジャグジーやミストシャワーや機能性を追求したシステムキッチンといった『設備・オプション』などのハード面の充実がみられます。また、共用空間の植栽等を充実させることで『自然』を取り入れたり、『環境への対応』が見られました。
これらの結果から、企業が考える「こだわり」とは設備や建物へのこだわりであり、生活者が考えるこだわりとは異なっていることがわかります。生活者の視点にたって考えると、こだわりを実現するためには必ずしも「モノ」が必要なのではなく、手間や時間をかける行為や、これらの行為を充実させる空間などを合わせて提案することが求められるのではないでしょうか。