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キッズデザイン賞にみるコミュニケーションの重要性
~第1回から第3回キッズデザイン賞の受賞作品を振り返ってみて~

 キッズデザイン協議会は、『子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン』、『子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン』、『子どもたちを産み育てやすいデザイン』の3つの理念に基づいて活動し、今年で発足から3年が経過しました。
 協議会の事業の3つの大きな柱の一つである顕彰事業、その第3回キッズデザイン賞受賞作品182点が決定し、7月1日に発表されました。キッズデザイン賞とは、われわれの身の回りにある製品や建築物、コミュニケーションに関するモノ、調査研究活動の中で、特に『子どもの安全・安心と健やかな成長に役立つ』デザインを、有識者(研究者、小児科医、デザイナーなど)で構成される審査委員で審査して顕彰する賞です。

≪事業の3つの柱≫
≪事業の3つの柱≫

≪審査部門別キッズデザイン賞受賞件数≫
≪審査部門別キッズデザイン賞受賞件数≫

 過去3回の受賞作品を審査部門別にまとめると、上記の表のようになります。総受賞件数は、毎年前年比20%の伸びで増えてきています。部門別でみると、最も応募件数の多い、商品デザイン部門は、総受賞件数の約50%を占めて、受賞件数も着実に増加してきています。建築・空間デザイン部門は、毎年全体の10%前後の受賞件数で推移しています。これら二つの部門は、モノが対象のためデザインの重要性が理解しやすい特徴があります。
 一方、コミュニケーションデザイン部門とリサーチ部門は、コトが対象となる場合が多いため、世の中の動きに敏感に反応して、受賞作品にも大きな変化がみられました。特に、コミュニケーションデザイン部門は、その受賞件数が、第1回の23件(全総数の20%)から第3回の58件(同30%)にまでに急激に増加しました。さらに、このコミュニケーションの手段として、単に印刷物や冊子を配布するだけのもの、ウェブに情報を掲載するだけのものではなくて、人と人とを介する、いわゆるワークショップ形式を併用するものが何件あるか調べてみると、その件数は、第1回:13件、第2回:24件、第3回:39件と急増していることがわかりました。これらのほとんどは、子どもたちが対象の優れたプログラムで、その活用の場は、学校、自治体、企業館などと多岐にわたっています。このことは、昨今の小中学生におけるコミュニケーションの重要性や学校教育の場への企業等ワークショッププログラムの参入の背景があげられ、この傾向は今後も増え続けていくことでしょう。また、ワークショップのテーマも、今までの安全・安心に係わるものから、環境面に関係するテーマが増えてきました。さらに環境面でも、材料を大切にする"リサイクル"に関するもの以外に、"二酸化炭素排出削減"や"省エネ"に関するテーマがみられ、現在の社会情勢を機敏に反映していました。
 リサーチ部門は、残念ながら毎年応募件数も受賞件数も減少の一途をたどっています。キッズデザイン協議会としては、世の中の、子どもの安全・安心と健やかな成長発達に役立つ調査研究テーマを広く世間から見出し、顕彰し、普及していくことが、次なる課題であるといえます。
 第3回のキッズデザイン賞を受賞した作品が一堂に会して展示される、キッズデザイン博2009が、8月6日~9日の4日間、東京都港区北青山のTEPIAにて開催されます。是非会場に足をお運びになって、『見て、触って、感じて』ください、キッズデザインの理念にあふれる作品を。
【参考】
第1回キッズデザイン賞 受賞作品
第2回キッズデザイン賞 受賞作品
尚、キッズデザイン協議会については、【執筆研究員:18.横井泰治】のコラムもご参照ください。


青山 勝博

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