全国的に新型インフルエンザの感染が広がっています。これだけの広がりを見せているにもかかわらず、電車の中や人ごみでマスクをしている人は多くないようです。うがい・手洗いを意識して行なう人は増えているように感じられますが、さほど神経質な対応になっていないのは、毒性が今のところ季節性インフルエンザ並らしいという安心感からでしょうか。
インフルエンザを含む風邪対策としては、うがい・手洗いなどの他に、乾燥防止つまり加湿によってウィルスや菌の活動を弱めることが有効とされています。風邪予防やのどの保護を目的として、加湿器を使用する人は増加の傾向にあり、東京ガス都市生活研究所で3年おきに行なっている「生活定点観測調査」によれば、「加湿器をよく使っている人」は、2008年では1993年の約2倍です。(図1)
図1 【加湿器】の所有と利用頻度
住居内の空気環境を整えるため、さらに使用者が大きく増えているものとして空気清浄機があります。同調査において空気清浄機の使用者は、1993年の10.5%から、2008年には27%と3倍近くに増加しています。(図2)
図2 【空気清浄機】の所有と利用頻度
このように、新型インフルエンザ流行以前から、住居内の空気環境に対する意識は着実に高まってきていました。理由として考えられるのは、清潔・健康・安全志向の高まりのもとで、花粉症や喘息などアレルギーの原因やシックハウス症候群などに関する多くの情報が広く知られるようになり、それらから身を守りたいという防御意識が強くなっていることです。
従来空気清浄機は、タバコやペットなど室内の臭い防止、ハウスダストや花粉の除去などを目的として使用する人が多かったのですが、新型インフルエンザの流行によって、さらに高度な役割を与えられようとしています。
今年の春(4~6月期)の出荷台数は前年同期比37.7%増と大きく伸びており(日本電機工業会)、新型インフルエンザ予防のために購入した人が多かったことを示しています。
さらにメーカー各社は新型インフルエンザ対策として、加湿機能・ウィルス除去機能(イオン機能など)を強化した高性能機種を続々と発売しており、21年度の出荷台数は前年度比20%増になると予測されています。
空気清浄機で新型インフルエンザをどの程度防ぐことができるのか、その点については様々な意見がありますが、「健やかな生活を保つためのツール」として、多くの生活者がこの機械に期待を持っていることは事実のようです。