10月24日から11月4日まで幕張メッセで第41回東京モーターショーが開催されていました。前回2007年の開催に比べ、今年の開催は海外メーカーの出展中止や全体規模の縮小など直近の経済環境の影響を受け、従来のモーターショーとは雰囲気が変わってきていますが、一方で、経済状況だけでなく社会環境の変化も出展内容に現れているようです。
メインテーマである「クルマを楽しむ、地球と楽しむ」にも示されているとおり、今回のショーでは、環境に対するアプローチをメインに展開されています。自動車における環境対応技術はその影響の大きさから大切な要素であるとともに、国内メーカーが得意とする技術分野でもあることから、日本開催のショーテーマとしてははずせない要素です。
また、近年の環境意識の高まりやエネルギー資源高騰の影響など、ユーザーである生活者への訴求としても重要な要素となってきていると言えるでしょう。
この点については、都市生活研究所が行なった生活定点観測調査からも生活者の意識変化を見ることができます。
グラフ1はガソリンについての省エネ行動に対する回答となっていますが、2005年時の調査に比べ、省エネを意識する人が大きく増加しています。また、グラフ2では5年後の社会についての回答を示していますが、4割の人が「環境のために生活の仕方を変えている」と予想しており、今後の暮らし方への方向性が見てとれます。
グラフ1 地球環境問題を考え、省エネルギーや節水などに取り組んでいますか。(ガソリン)
グラフ2 「5年後の社会」の予想(環境のために生活の仕方を変えている)
自動車に限らず、すべての商品やサービスは「環境」というキーワードが重要な位置付けとなってきている現在ですが、一方で、「環境」というキーワードが大きな差別化訴求とはならなくなってきたということも同時に感じられます。
このような基本ニーズをベースとして押さえるとともに、いかに「生活者の心を響かせる価値を提供できるか?」が、やはり大切ですね。