今年も残すところあとわずか、一年を振り返る時期となりました。皆様にとって2009年はどのような年だったのでしょうか。
個人的なことになりますが、私にとって今年は環境が大きく変化した一年でした。学生から社会人になり、親元を離れてひとり暮らしを始めました。慣れないことも多く、不安な毎日を過ごしていますが、今の生活にはそれなりに満足しています。
東京ガス都市生活研究所で3年おきに行なっている「生活定点観測調査」によれば、今現在の自分の暮らし全体に満足している人は約73%にも及んでいます。少子高齢化や雇用不安など、マイナスのイメージが多い時代ではありますが、現在の生活に満足している人は意外にも多いことが分かりました。
では、少し先の将来、5年後の暮らしはどうなっていると予想しているのでしょうか。
5年後の自分自身の暮らしについては、良くなっていると思う人が約43%と多く、比較的多くの人が自分の将来について楽観的に考えていることが分かります。
一方、世の中一般の人の暮らしについて問うと、良くなっていると思う人の割合は約15%と大きく減っています。反対に、悪くなっていると予想する人は約46%にも及んでいます。生活定点観測調査からは、5年後の社会について「格差社会が進んでいる」、「若者の負担感が増している」といった好ましくない予想について、そう思う、ややそう思うと感じる人が多いことが分かっており、世の中一般の人の暮らしの予想は、社会の予想と大きく関係しているように感じられます。
同じ「5年後の暮らし」の予想でも「自分自身」と「世の中一般の人」では大きく異なっていました。多くの生活者は、世の中一般の人々の暮らしが悪くなるほどには自分自身の生活が悪くなると思ってはいません。むしろ良くなると答える人が多く、「世の中大変そうだけれども、自分はなんとか大丈夫だろう」と思い、「今の生活を守り、少しでも良くしていこう」という希望を持っているようです。
生活者の意識や行動が一様化(Uni化)し、強いニーズが見えにくくなっている現在、このような「生活をより良くしたい」という明るい希望に応えるためには、ニーズを創造し提案していくことが重要であるといえます。
しかし、強いニーズが見えにくいとはいえ、ヒット商品は必ず存在しており、そこからニーズの方向性を予測することができます。2009年のヒット商品といえば、ハイブリッドカーが思い浮かびます。ヒットの要因は生活者の環境意識の向上だけではなく、エコカー減税の実施によってお得感を生み出し、不況をうまく逆手にとったことも大きいのではないでしょうか。また、今年は「エコポイント」という言葉も頻繁に耳にしました。
不況の今、生活者の暮らしをより良くするためには、例えば「環境に良い」、「安い」といった複数の求められるキーワードを組み合わせて、新たなニーズを創造することもひとつのヒントになるかもしれません。