4回目となりました、今年のキッズデザイン賞受賞作品が185点誕生しました。その中でもキッズデザイン3つの理念(子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン、子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン、子どもたちを産み育てやすいデザイン)を実現する優れた作品として25点が選ばれ、8月3日に発表されました。この中には、私たちのモノのカタチに対する常識を覆される作品がありました。今回は、『デザインのチカラ』の凄さについて触れてみたいと思います。
先ず一番目は虫眼鏡の形をした下の写真の機械です。
これは、実は「羽根のない扇風機」です。多くの人には、「扇風機には風を起こすために羽根がついている。」という固定概念があると思いますが、この機械は、下の台座から吸い込んだ空気で風を作り、輪の部分にあるスリットから風を吹き出すときに輪の周囲の空気を引き込んで風を送ることができます。ハンドドライヤーの原理?)からヒントを得て開発されました。回転する羽根がないので、子どもたちの安全に配慮された点がキッズデザイン賞として、高く評価されました。
次は、下の写真のシリコン樹脂製の「知育玩具」です。
上のカタチのものを裏返すと下のカタチに変形します。
例えば、ハートがスペードのカタチに、三角形がクローバーのカタチに変形します。他にも四角形がチョウチョに変形したりして、デザイン(カタチ)のチカラに驚かされます。この作品を親子連れに説明すると、おとなでも興味津津で感動します。子どもたちの創造性と感性を高める点が高く評価されました。
こちらは「逆さまにしてもこぼれないシリコンキャップ」です。
このキャップをつけるとコップやペットボトルを倒しても中の液体がこぼれないだけでなく、飲むときに一定量しか出てきません。これは、のどの筋肉の構造を応用して作られたモノです。この開発の背景には、開発者の親族の方が病気になられて、水を飲むことが辛くなり、そのことをデザインのチカラで解決しようと試みたという事情があります。子どもの誤嚥を防ぐことから安全面が高く評価されました。
最後は、自転車に乗る時にかぶる、「お子さま用ヘルメット」です。日本人と外国人の子どもでは、頭の形状が異なります。この企業は研究機関と協力して、日本人の子どもの頭のカタチ(サイズ)を精細に調べて、日本人の子どもにピッタリのヘルメットが開発されました。外観は外国製と変わらないデザインでも、目立たないところにデザイン(カタチ)のチカラが働いています。ヘルメットはかぶっていても最適なサイズでないと効果が下がるため、精緻さが安全性の面から高く評価されました。
このように、今までと同じ役割を持つモノでも、全く違う原理を使ったことにより、あっと驚くカタチのモノ、高いニーズを解決するためのモノ、日本人特有のきめ細やかな工夫を活かしたモノなど、『デザインのチカラ』が発揮された作品を取り上げてみました。
キッズデザイン協議会のホームページでは、他にもデザインのチカラが見てとれるモノ・コトが結集された、第4回キッズデザイン賞の受賞作品を見ることができます。