近年、「病気にならない○○」「アンチエイジング特集」など健康や美容をテーマにした書籍や雑誌が書店を飾り、この手の情報が後を絶たない。「健康であること」は生活の中で最も重視されている普遍的なニーズだからこそ、ビジネスチャンスを狙った様々な商品やサービスが生まれている。
ここでは、かつては行政や職場が住民や職員の病気予防や健康維持のために定期的に行なってきた健康診断に注目したい。最近の傾向としては、ワンコイン検診や郵送検診といった、好きなときに手間や時間をかけずに受けられる手軽さを追求したものや、アンチエイジング検診といった高価ではあるが新しい切り口で質の高い診断が得られるものなど、生活者のニーズに対応した健診サービスが受け入れられている。
都市生活研究所の調査でも、健康行動の目的として、病気にならないもしくは早期発見といった「予防」に共感度が高いことが分かっている。これまでの定期健診が実現してきたこうしたニーズを基に、手軽さを求める現代の生活者に対して健診の方法を変えたり、健診の結果を詳細に分析してパーソナル対応のサプリメントや食材の販売につなげるといった新しいサービスに展開することは、新市場創造のヒントになるだろう。
普遍的なニーズにプラスαの価値を加えることで、新たなビジネスチャンスが創出する。成熟市場の世の中においては、ますます生活者のニーズを深く読むことが大切である。
荒井 麻紀子