皆さんのご家庭にある冷蔵庫は何色でしょうか?
都市生活研究所では1986年より研究活動を行なっていますが、87年当時の調査資料を見ると興味深い事実に気付きます。この調査は、集合住宅のキッチン周りについて訪問調査を行なったものですが、写真の中に黄緑色の冷蔵庫や調理家電がとても多く登場します。
冷蔵庫といえば白色系のイメージで、いまや緑色の冷蔵庫を見る機会はほとんど無いのですが、(財)日本ファッション協会・流行色情報センターのホームページにある色彩歴史館によると、70年代後半のナチュラルカラーから80年代半ばのパステルカラーブームまでの流れの中で、家電商品の緑色系ブームが形成されていたようです。
現在、家電量販店の店頭に並ぶ冷蔵庫や調理家電は、白色系やシルバー系のものが多く目に付きます。都市生活研究所で2010年の1月に実施したアンケート調査結果では、調理家電製品に求められる色合いの上位には白色系が挙がっており、需要に応えたラインナップなのでしょう。
しかし一方で、この調査結果ではブラック系やヴィヴィド/メタリック系といったカラーへのニーズも少なからず存在しています。
これらの色合いを求めている人達を年代別に見ると、若年層ほどニーズが高い傾向が見られます。(図1)また、若年層ではデザインの優れたものに対してお金を惜しまないという回答が多くなっています。(図2)
このような傾向からキッチン空間を考えると、いわゆる白物家電と呼ばれるような空間に溶け込む白色系中心の流れから、よりデザイン性を主張できるカラーや形状、材質といった商品の選択が、今後の購買層では伸びてくる可能性がありそうです。
もしかすると黄緑色の冷蔵庫を再び目にする機会がやってくるかもしれません。