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キッズデザインは地震対策にも役立ちます

 NPO法人キッズデザイン協議会では、「子ども目線(子どもが想定されるユーザーでないものでも子どもが使用する・触れるシーンを考慮すること)」で優れた製品などを顕彰して、『キッズデザイン賞』として表彰しています。
 今回は、このキッズデザインな製品が子どもたちの安全・安心の面で優れているだけでなく、地震時にも役立つことをご紹介しようと思います。


 子どもには次のような行動特性があります。 はいはいを始めたばかりの赤ちゃんから3歳位までのお子さんは、目にするものすべてが珍しく、口に入れてその性質を知ろうとします。 実際に医療機関を受診した事故情報のうち、誤飲誤嚥は危険を認識できない満0~2歳までの子どもたちに多くみられました。これは、家庭内の洗面所や台所の下に収納されている薬品や洗剤、調味料を見つけて誤飲誤嚥をしてしまうケースでした。誤飲誤嚥以外では、台所特に流しの下には包丁が収納されていることが多く、こちらは包丁のような危険物によるケガが発生する恐れがあります。
 チャイルドロックは、今述べてきたような子どもの事故を低減することが出来ます。私たちの身の回りの家電製品やガスコンロ、自動車には既に製品に組み込まれたロック機能が見られます。洗面所や台所の扉の場合、扉を子どもたちが開けないようにするために、両側の扉を一つにしてとめる後付けのセーフティロックのような製品が重宝します。この後付けの開き扉用のチャイルドロック製品は、地震時に食器棚の扉が開いて食器やグラスが落ちてくるのを防いでくれます。そのため、3月の震災以降扉に後付けのチャイルドロック製品は、子どもの安全・安心の目的というよりはむしろ地震対策で好評で品薄になっている様子です。


開き扉のチャイルドロック


 その他、家庭内での子どもの事故として多いのが家具や突出部分の角形状への衝突による怪我が挙げられます。これも、小さなお子さんがいるお宅では机の角などに角カバー(コーナーカバー)を被せて対処していますが、これは地震時に家具等が倒れた時に床に傷がつき難いことや、万が一人の体に倒れてきたときでも、鋭くとがっていないので大怪我にならなくて済むことが考えられます。この製品も子どもたちのため安全・安心のためだけでなく、地震対策にも役立つものです。


机・家具の角カバー

 今年で5回目となるキッズデザイン賞は、応募を締め切り、審査が開始されました。7月上旬には、「子ども目線」で優しいキッズデザイン賞が決定します。その中に災害時にも役立つキッズデザインな作品がどれだけ含まれているか、今から結果が楽しみです。

青山 勝博

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