少し気が早いですが、夏休みには田舎に帰ってご先祖のお墓参りをされる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
昨年行った「40代の住空間研究」では、先祖代々の仏壇を収納する場所をリビングに設ける提案をしています。リビングは家族が集まる場所なので仏壇を祭る場所としては適していますが、仏壇をそのまま置くのでは存在感がありすぎるので来客時などには扉を閉めて隠せるというものです。40代ともなると、今まで親が見ていてくれた仏壇が自分たちに引き継がれる年代とも重なるのでは、という考えが発端となっています。
実際に仏壇や神棚があるという方に祭っている場所を聞いたところ、和室のあるお宅では押入れが多かったのですが、他に
「新築する時は仏壇のことなど考えなかったが今になって後悔している。養父がなくなり今後仏壇をどこに置こうかと夫と話す機会が増えた」
「箪笥の上に置いている。その場所しか空きスペースがないから」
「マンションなので場所がなく位牌だけを押し入れの手前に置いている」
という声があり、場所に苦労している様子がうかがえました。
都市生活研究所が行っている「生活定点観測調査」によると、現在は和室のない家が増えてきているので、仏壇や神棚の置き場所に迷う人も増えそうです。このような住宅事情に応えるためなのか、仏具や神具の専門店でも、現代風のインテリアに合う木目調の「リビング仏壇」「リビング神棚」を扱っているお店がいくつも見られます。
最初にご紹介した「リビングに仏壇を収納する提案」について40代の人々には評価されるのか調査を行ったところ「隠す必要はないのでは」といった声もありましたが、
「自分の両親が亡くなったら子供達にも手を合わせて欲しい」
「リビングに線香のにおいがつかなくて良い」
といった共感の声が得られました。
いざ仏壇や神棚を祭ろうと思っても、方角や高さ、音の出るものの上には置かない、など様々なことを考慮しなくてはいけません。新しく住まいを選ぶ際には、自分や家族の部屋を考えるだけでなく、将来に備えて仏壇や神棚はどこに祭るか、という視点を加えることも必要ではないでしょうか。