携帯電話ショップ内に踊っている『スマホキャンペーン』の文字。携帯電話の普及率が1人1台を超え、近年のスマホキャンペーンにあわせて、スマホデビューをした方も多いのではないでしょうか。
「昔は固定電話しかなくて、彼女の家に電話するとき、ご両親がでないかドキドキしたなぁ」という思い出をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、ほんの10年前までは電話といえば私たちの生活を支えてきたのは固定電話であり、時代の移り変わりをしみじみと実感しています。
総務省の統計では、携帯電話の契約数が右肩あがりであるのに対し、固定電話の契約数は、ピーク時の約半分に減少しています。
では、どのような人が固定電話を使わなくなったのでしょうか。
都市生活研究所が2012年に実施した調査では、固定電話を「自分が使っている」20代は13.5%と、他の年代に比べ最も少なくなっています。さらに、20代の約4割は固定電話を「取り入れたくない」と思っており、若年層の固定電話離れも契約者数の減少の一因になっているのではないでしょうか。
一方で、固定電話を使っている割合は年代が上がるにつれ増加し、特に40代以上の約9割が「自分もしくは家族が使って」おり、小さいころから慣れ親しんだ固定電話は顕在のようです。すでに自宅に電話回線があることや、以前は様々な手続きの際などの申込みに固定電話の電話番号が必要であったりしたことから、たとえ携帯電話を持っていても「固定電話はあったほうがよい」という意識が強いのかもしれません。
また30代は、20代や40代以上とは異なる傾向を示しています。図1からわかるように、30代が学生からちょうど社会人になる頃の平成8年以降から携帯電話が普及しています。固定電話が身近にありつつも、携帯電話を持つことが徐々に当たり前になっていく、過渡期の年代ならではの傾向といえるかもしれません。
今後、さらなる携帯電話の普及があっても40代以上の住まいから固定電話が消えることはないと思われますが、デジタルネイティブと呼ばれ、生まれた時からインターネットやパソコンがあり、「電話は1人1台」の生活環境で育った世代が新たに固定電話を取り入れることは少ないことが予想されます。
近い将来、固定電話を使わない世代が増え続けると、電話は個人にひもづき、固定電話のよさでもあった相手の家に連絡を取るといったことが難しくなります。今後の通信コミュニケーションは1:1になってしまうのでしょうか。