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「備え」は続けていますか?

 東日本大震災から2年が経ちました。各種報道によって被災地の現状が伝えられ、復興はまだまだこれからであると、改めて認識しました。被害にあわれた皆様が1日も早く以前の生活を取り戻されることを願ってやみません。

 あの日を契機として、一都三県の生活者の意識・行動はどう変わってきたのか。都市生活研究所では数回にわたり調査を行いました。今回は、東日本大震災から1年10か月余りが経過した、2013年1月末に実施した調査の結果をお伝えします。

〔データ出典:震災後調査 2013年1月 N=1123 調査対象:一都三県20~60代男女〕


 東日本大震災以降、生活者の意識・行動が大きく変化した部分のひとつとして「備え」があります。震災をきっかけとして何らかの「備え」を行った人は、約6割、そのうち、現在も継続している人が8割を超えています。(図1、2)


図1 東日本大震災をきっかけに何らかの「備え」を行ったか 図2 現在も「備え」は継続しているか
    図1 東日本大震災をきっかけに何らかの「備え」を行ったか      図2 現在も「備え」は継続しているか


 震災後に行った「備え」の内容としては、家具の転倒防止、懐中電灯やろうそくの用意、非常用袋の準備・点検、食料や水の備蓄、家族での避難場所や通信手段の確認などがあげられており、現在まで継続している「備え」としても防災用品の用意と食料や水の備蓄が多くあげられました。
 多くの人が震災をきっかけに「備え」を行い、継続していることが分かりますが、実は年代によって差が見られます。


図3 東日本大震災をきっかけに何らかの「備え」を行ったか(年代別)

図3 東日本大震災をきっかけに何らかの「備え」を行ったか(年代別)


 図3のように、20代は「備え」を行った人が半数に満たず、継続率も72.7%と全年代の中で最も低くなっていました。20代は結婚している割合が低く、親と同居している人も多いため、「備え」は親任せであったり、若く健康なことから「なんとかなるさ」と考えがちだったりすることが、この結果に表れているのではないでしょうか。


 いざ災害が起こったときには、20代の人たちが活躍する場面がたくさんあることが想像できます。個人差はあるとはいえ、高年齢者よりは体力もあり、動きは機敏で、頭も柔軟、そんな20代に助けられることになるかもしれません。災害後の復興でも、その後の発展においても、20代の力は非常に重要になりそうです。
 だからこそ、20代には元気に生き残ってもらわなくてはなりません。人を助けるためにもまず自分が無事に生き延びることが大切だということ、面倒な「備え」にも少しは関心を持って日々の生活を送ること。そのようなことを、もうすぐ20代になる子を持つ親として、「うるさいなあ」という顔をされることは承知の上で、折にふれて言い続けなければ、と思い直した3月11日でした。

木村 康代

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