都市生活レポート「50代・60代の住空間研究~より満足できるリフォームを実現するために~」では、50~60代のキッチン・水まわりのリフォームに求めるポイントを明らかにしています。その中から、50~60代にみられたいくつかの特徴を住宅形態別にご紹介します。
50~60代にインタビューを行ったところ、「家事の手間を省きたい」という声がありました。過去の調査から、家事の省手間ニーズはどの年代でも高いという結果が出ていますが、子育てが一段落した50代は、自分の時間をつくるために家事を時短したい、と感じているようです。また60代は時短ではなく身体的な負担を減らしたいと感じているというように、年代によって理由が異なるのが興味深いところです。
インタビュー調査を通じて、家事の省力化のために住まいに求めるポイントとして「コンパクトに暮らしたい」が浮かび上がりました。「キッチンリフォームの現状とニーズ~50代・60代女性がリフォームで実現したいキッチンとは~」によると、50代~60代は他の年代に比べて持っている調理器具が多く、ストックしている食品の種類が多いという結果がでているため、50~60代は広いキッチンを求めているのではないかと考えられました。しかし、実際は家事空間が広いほど移動距離が長くなる、広いと掃除が大変だと感じており、50~60代を対象としたアンケート結果でも、「キッチンが広すぎずコンパクトである」ことを重視する人は6割を超えています。住居形態別にみると、戸建住宅よりも集合住宅に住む人の方が、値が高くなっています。
また、50~60代へのインタビューでは「おいしいものが食べたければ外で食べればいい」「ゆったりしたいなら旅行に行けばいい」など、気持ちが外に向いている声が多くあがりました。
50~60代を対象としたアンケート調査では、「家に居るよりも外出することが多い」人は3割前後と、3~4人に1人があてはまります。住居形態別にみると、集合住宅に住む人の方が、値が高くなっています。
このように50~60代は「生活をコンパクトにしたい」「外出することが多い」といった生活のスリム化・外向き志向がみられましたが、集合住宅に住む人の方がその傾向が強くなることは、新しい発見でした。
現在の50~60代は、子どもが小さい時は、親子で友達の家を行き来して食事を共にする機会も多かったようですが、子育てが一段落した今では、友人と外で気軽に会いたい、という声がグループインタビューでは多く聞かれました。
女子会、ママ会といった比較的若い年代を対象とした外食等のプランはよく見られますが、外向き志向の強い50~60代を対象としたプランもあると、新たな需要喚起につながるかもしれません。