今回は2013年の4月のコラム「近居する親と子の関係」に引き続き、近居の暮らしについての研究から調査結果を一部ご紹介したいと思います。
近くに住み、何か交流をする1組の親世帯と子世帯を考えると、その組み合わせは「娘世帯と近居」と「息子世帯と近居」の2通りがあります。どのくらいの頻度で相手の世帯と会っていますか?と聞くと、「娘世帯と近居」と「息子世帯と近居」で差があり、週1日以上会う頻度で比べると、2倍以上も差があることがわかりました。(図1)
娘世帯との近居の方が家と家が近いのでは?という疑問が湧きますが、調べてみるとどちらも世帯間の移動時間にそれほど大きな差は見られませんでした。
また、近居を始めた理由として「育児に協力するため/してほしいから」が上位に挙がっていました(4月のコラム「近居する親と子の関係」参照)。親世帯と育児期の子世帯で会う頻度を見てみましょう。育児期を子世帯の子どもが小学生以下である時期とすると、以下のような結果となりました。
図1と比較すると、どちらの近居も会う頻度は若干増える傾向にありますが、2倍近い差は変わりません。育児期かどうかに関わらず、娘世帯との近居では会うし、息子世帯との近居ではあまり会わない、ということがわかります。
次に、交流する内容について詳しく見てみます。
親世帯と子世帯が一緒に誕生日をお祝いする割合は、娘との近居でも、息子との近居でも、やはり孫の誕生日が最も高くなりました。次いで、親世帯の妻、親世帯の夫と続きます。近居している娘の誕生日を一緒にお祝いする割合は、お嫁さんの誕生日を一緒にお祝いするのとほぼ同じになっています。しかし、子世帯の夫の誕生日では大きな差がありました。お婿さんの誕生日の場合は約1割とほとんどお祝いされていません。対して、息子の誕生日はその3倍でした。
嫁姑問題は今もあるはずですが、お嫁さんの誕生日を祝う割合を見る限り、それなりに良好と言えそうです。その一方、お婿さんの誕生日を祝う割合の低さは、お婿さんの存在感の薄さを感じさせる興味深い結果となりました。
同じ近居でも、その組み合わせで会う頻度も違い、両世帯の関係性も変わってくるようです。