来年からの消費税増税の影響で、今年は9月までに相当な住宅の駆け込み需要があったそうです。そんな社会状況がきっかけの方も多いと思いますが、一般的には住宅の購入は子どもが小学校に入学する時と言われています。さて、あなたがお住まいをお持ちのファミリーだとすると、住宅を購入するとき、「子ども部屋」をどの程度重視されたでしょうか。
今年、都市生活研究所が行った調査で、子どもに自分の部屋の有無を聞いた質問があります。それを見ると、小学校低学年でも兄弟姉妹と共有の部屋も含めると5割以上、高校生だと9割以上が自分の部屋を持っていると回答しています。
日本と欧米で「子ども部屋」に対する意識は異なると言われていて、個人主義の欧米では「寝室」と考えるのに対し、日本では「子ども部屋=勉強部屋」として捉えることが多いそうです。そのため、子どもの就学時に最初から子ども部屋を想定して住宅を購入するケースが多くなると考えられます
しかし近年は、「リビングで勉強する子は学力が伸びる」という教育論や、小学校で「音読」のような親子のコミュニケーションを促進するような宿題が多く出されることなどを受け、リビングで宿題や勉強をする子どもが多くなっていると言われています。
図2は、同じ調査で子どもに対して「自宅外を含めてあなたが最も勉強しやすい場所はどこですか?」と尋ねた結果です。
小学生はリビングが最も多く、自分の部屋と答えた割合は1/4程度になっています。中学生・高校生になるにつれ「自分の部屋」が多くなりますが、実は「自宅外」と答える割合も増加し、女子高校生では自分の部屋よりも自宅外と答えた割合の方が多くなっています。
それでは、女子高校生は自宅外のどこが勉強しやすいのでしょうか?その結果は図3のとおりです。
「図書館」や「学校の自習室」は昔からの定番だと思いますが、「飲食店」がそれらに迫る勢いで挙げられています。そういえば最近は、ファストフードやカフェで勉強している制服姿の高校生を多く見かけます。友達とおしゃべりしながら、という子もいますが、一人で本格的に黙々と勉強している子もめずらしくありません。いろいろな誘惑がある自宅の子ども部屋よりも、勉強の効率は上がるのでしょう。でもその分、子ども部屋はそれほど勉強に使われなくなっていることになります。
現在の中高生の親世代が学生だったとき、塾に通う割合も今ほど高くなく、喫茶店などに一人で学生が入れる雰囲気もあまりなかったので、勉強は「自分の部屋」や「図書館」などで行うのが一般的でした。それがイマドキは"普段はリビングで宿題を"し、"定期テストの勉強は自習室かカフェで"行うのが主流になっている可能性があるわけです。ヒアリングをしてみると、子どもが自宅にいるときはほとんどリビングにいて、子ども部屋が単なる物置になってしまっているケースもめずらしくありませんでした。親の持つ子ども部屋のイメージと、実際の子ども部屋の使われ方に、かなりのギャップがありそうです。イマドキのファミリーが住宅を買う時、親の寝室よりも子ども部屋を重視しすぎると、もしかしたら将来少し後悔するかもしれません。
中高生のお子さんがいらっしゃる方は、一度冷静に子ども部屋の使われ方を観察してみてはいかがですか。あなたが期待したとおりの使われ方をされていますか。