4月も後半となり、暖かい日がずいぶんと増えてきました。一冬頑張ってくれた暖房機器をすでに片付けたご家庭もあることと思います。冬の間は節電のため家族がなるべくリビングに集まっていた我が家ですが、最近は各々自室で過ごすことも増え、以前のパターンに戻りつつあります。
家にいる間はなるべく自分が過ごしやすい場所、好きな場所にいたいものです。都市生活研究所で今年1月に行った「住まい」に関する調査の中で、自宅のどの場所が最も好きかを聞いてみたところ、「リビング」が最多であることがわかりました(図1)。どの年代でも、男性よりも女性の方が「リビング」を好きな人の割合が高い傾向にあります。性年代別にみると、男性50~60代と女性30~70代では「リビング」が各年代とも高くなっています。
リビングは他の部屋に比べてリラックスできる場所であったり、家族との会話や娯楽を楽しむ場所であったりする他、仕事や趣味などの活動に励む場とするなど、多様に利用できる空間であることが影響しているのかもしれません。
実際には、どのような理由でリビングが好まれているのでしょうか。リビングが最も好きであると回答した層に理由を聞いたところ、性別や年代でばらつきがありますが、全体的に「テレビがあるから」「パソコンが使えるから」の割合が高い結果となりました(図2)。
リビングにテレビ、という光景はごく当たり前になっていますが、そこにパソコンが加わっているのは比較的新しい傾向であるように思われます。
パソコンに限らず、様々な情報機器をリビングで使用する方はどのくらいいるのでしょうか。パソコンやスマートフォンなどの情報機器を所有している人に、自宅のどの部屋で使用することがあるかを聞いてみました(図3)。「リビング」と回答した割合を抽出して比較すると、情報機器の種類や性年代によって大きな差があることがわかります。ただ、パソコン(デスクトップ型・ノート型)については若年層のリビング使用割合が特に低いということはないようです。着目したいのは、パソコンよりも持ち運びやすい小型の情報機器をリビングで使う割合の方が全年代において高いという共通点です。
パソコンよりもはるかに小さく軽い情報機器が普及したことで、それらを使用する場所に悩んだり、過ごす場所の選択肢が狭まったりすることは少なくなりました。例えば、インターネット利用に際しても「そのためにパソコンのある部屋に行く」ではなく「一番居心地のいい部屋でインターネットを楽しむ」というスタイルが小型情報機器によって容易に実現できます。くつろぎの場、家族団らんの場、趣味娯楽の場としてのリビングは、携帯電話やスマートフォンなどの機器を通じて情報を受発信する場ともなっていることが窺われます。
情報の閲覧だけではなく、今や誰もが発信側になれる時代。リビングを情報の受発信基地とするご家庭は、ますます増えていきそうです。