都市生活研究所では、東日本大震災以降、暮らしとエネルギーの意識・実態の変化について調査を実施し、経年変化を追っています。2014年12月に最新調査を実施し、一都三県に住む生活者の地震への備え、省エネ行動の実態と意識について明らかにした、都市生活レポート「地震への備えに関する実態と意識」からいくつかのデータをご紹介します。
まず、日頃から不安に思うことをたずねたところ、地震がトップで約7割にのぼりました(図1)。多くの人が、いつ起こるか分からない地震に対して、日頃から不安を持っているようです。地震への備えとしては、明かりの準備がトップで約7割の人が実施しています。飲料水や食料のストックも約6割の人が実施しており、地震への備えとして物資をストックすることが比較的よく行われていることが分かりました(図2)。
しかし、これらの備えもすべての人が行っているわけではありません。時間や手間がかかって、備えたいけれど出来ないという人もいると思いますが、「地震が起こっても我が家は被害にあわないだろう」という気持ちがあるのではないかと思い、「地震が起こっても我が家は倒壊しないと思うか?」を聞いてみました。この結果を住宅の形態と築年数別に分けてみたのが図3です。
戸建住宅を見ると、築年数が浅いほどあてはまる割合が高くなる傾向にあります。これは、建築技術が進歩していることによるのではないかと考えられます。築15年より築20や築30年の方があてはまる人が多いのは、ちょうどリフォームの時期であるため、耐震診断や耐震補強をした人がいるためかもしれません。
次に集合住宅を見ると、築5年以上は、築年数が浅いほどあてはまる割合が高くなる傾向にありますが、築5年未満は低くなっています。この理由は定かではありませんが、今回の調査では、築5年未満は賃貸住宅の割合が7割と、他の築年数の集合住宅よりも賃貸の割合が高くなっており、このことが影響しているとも考えられます。賃貸住宅を選ぶ際は、立地や家賃、間取りなどが重視されていて、耐震性までは意識せずに選んでいる方が多いのではないでしょうか。
住宅を買い替える際の重視点を聞くと、「基礎・構造・工法」「耐震性」は1位と3位に挙げられており、持ち家住宅において、耐震性が重視されていることがわかります(図4)。地震の多い日本において、今後は賃貸住宅においても「どのくらいの耐震性がある住宅か」をわかりやすく提示することが求められていくかもしれません。