先ごろ、幕張メッセで開催されたアジア最大級の最先端IT・エレクトロニクス総合展「CEATEC JAPAN 2015(シーテック ジャパン)」にて、最新の「全自動洗濯折りたたみ機」が発表されました。洗濯、乾燥に加え、洗濯物を折りたたむ工程までを自動化することで、新たな時間を創造するというコンセプトを打ち出しています。
純粋に技術の進歩に感心するとともに、時短に対するニーズは引き続き高いので、各工程での家事に対する自動化のニーズは高いものの、自動化されればそれでよいというわけではないとも感じました。洗濯物の折りたたみだけでなく、すでに自動化されている洗濯、乾燥についても、現状のままでいいのでしょうか。そもそも現状はどうなっているのでしょうか。
東京ガス(株)都市生活研究所で、2013年6月に発行した都市生活レポート「ファミリー世帯の洗濯と乾燥2013」の中のデータを見ていきます。
まず、洗濯の頻度について見てみると、最も多いのが「週8回以上」の32.5%、次に「週7回」の25.6%、合わせて「週7回以上」が58.1%を占めています。さらに、「週5~6回以上」では75.1%が該当し、ファミリー世帯は、ほぼ毎日洗濯している世帯が多いことがわかります。また、家族人数が多くなるにつれて洗濯の頻度が高くなっていることもわかります(図1)。
次に、理想の洗濯物の乾かし方は、「屋外干し」が最も多く、89.3%を占めていました。残りの1割の内訳は、衣類乾燥機・洗濯乾燥機・浴室暖房乾燥機などの乾燥機による方法が合計で5.5%、「室内干し」が3.3%でした(図2)。
「屋外干し」を理想とする理由は、「日にあてて乾かしたい」「外の風にあてて乾かしたい」が特に高いです。さらに、年代別にみると、これらの項目では、他の年代に比べて20代が低いことが特徴的でした。これに対して、20代が他の年代よりも高かったのは、「一度にたくさん乾かせる」「経済的」という項目であり、利便性や経済性を重視していることがわかりました(図3)。
「屋外干し」が理想の干し方としている人がこれだけ多いと、必ずしも、洗濯、乾燥、洗濯物の折りたたみを一気通貫で自動化できても、満足度は高まりません。例えば、乾燥機には、生活者が求める、「天日干し」や「自然通風」と同等の効果を得られる機能をとりいれるなど、生活者の真のニーズにあった機能を加えるであるとか、時短のニーズが高い若年ファミリー層をメインターゲットとした機器に特化するなど、今一歩踏み込んだターゲティングを明確にした機器が、生活者の満足を高めることになるのではないでしょうか。
当然、「全自動洗濯折りたたみ機」を開発しているメーカーをはじめ多くのメーカーの方はその道のプロなので、私が考えている以上にこうした生活者のニーズを潜在化しているものまで掘り起こして、そのニーズを満たしてくれる機器を提供してくれることと思います。洗濯、乾燥、洗濯物の折りたたみ、さらには衣類収納という一連の家事を画期的に変えてくれるどんな機器がこれからでてくるのかが楽しみです。