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夫婦別室就寝調査より~その5  別室就寝の意味と今後の希望

 夫婦別室就寝についての調査結果を、都市研コラムその1(2008年1月7日)その2(2008年6月30日)その3(2008年10月27日)その4(2009年2月23日)でご紹介してきました。今回は別室就寝の意味と今後の希望についてお伝えしたいと思います。

〔都市生活研究所で2007年に実施した「寝室に関する調査」によると、年齢が上がるにつれて「夫婦は別の寝室で寝ている」人が多くなり、50代で約32%、70代以上では約半数〕


夫婦別室就寝者の寝室は、寝るだけでなく、くつろいだり趣味などを行なうための「個室」
 別室就寝を実践している人に、「あなたにとって現在の寝室はどのような部屋ですか」と聞いたところ、「寝るための部屋」より、「寝るだけではなく、くつろいだり趣味などを行なうための部屋」という答えが多く返ってきました。女性よりも男性でこの傾向が強くなっていることについては、前回までのコラムで紹介したように、男性は自由気ままに活動できることを評価し、一方女性は安眠できる良さを高く評価していることが、この差に表れていると思われます。
 安眠第一の女性にとっても、「寝るだけではない部屋」と捉える人が半数を超えていることから、一人で過ごす空間として別室就寝の寝室が大切な役割を担っているといえるでしょう。

図1 夫婦別室就寝者 : あなたにとって現在の寝室は?
図1 夫婦別室就寝者 : あなたにとって現在の寝室は?


夫婦別室就寝者の寝室は「寝るためだけの部屋」ではないが、やはり就寝も別々が良い
 それでは、一人で過ごす空間を夫婦それぞれが持っていれば、就寝は同室でも良いのでしょうか。
 図2のとおり、男性の72%、女性では93%が別室就寝が良いと答えています。相手の睡眠を邪魔することがなく、自分も安眠できる別室就寝をすでに実践している人にとって、就寝はやはり別々が理想であることがわかります。

図2 夫婦別室就寝者 : 理想の個室と寝室は?
図2 夫婦別室就寝者 : 理想の個室と寝室は?


現在別室就寝の人は男女とも「一人で就寝」を希望、現在同室の女性も半数以上が「一人で就寝」を希望
 今後の理想の寝室として、誰と就寝したいかを聞いたところ、現在別室就寝の人は9割以上の人が「一人が良い」と答えています。女性ではほぼ100%であることを見ても、一人で安眠できることを満喫している様子が伺えます。
 現在同室就寝の人でも、女性の53%、男性の29%が「一人がよい」と答えています。本当は一人で就寝したいけれど、部屋の余裕がない等の理由で、現在は同室で就寝している人がいること、そしてそれは女性に多いことがわかります。

図3 理想の寝室 : 誰と就寝したいか
図3 理想の寝室 : 誰と就寝したいか

 以上、夫婦別室就寝についての調査結果を5回にわたって紹介してきました。欧米などでは、夫婦が別室で寝ることは考えられないといわれるようですが、日本の、特に年齢の高い夫婦においては決して珍しくないことがわかりました。
 事実、この調査を行なっている間、周囲の人々に聞いてみると、かなりの割合で別室の人がいました。そしてみなさん、「気を遣わずにすむから、やっぱり別々がいいよ」とにこやかにおっしゃいます。
 家庭の中でお互いができるだけ我慢や気兼ねをせず、良い関係を保ちたい。そして心身ともにリラックスできる場所としての家を大事にしたい。このような傾向は、2008年に実施した、【生活定点観測調査】の中にも現れてきています。
 豊かにはなったものの、不安が日々大きくなっている現在、「家族」や「家での生活」の重要度はますます増してきています。このような傾向を踏まえると、夫婦別室就寝も、生活者が求めるより良い暮らしのひとつの形であるといえるのではないでしょうか。

木村 康代

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